“池袋中国語コラム”とは・・・ |
中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国語の法人研修に関するお勧めの情報・ノウハウを提供しています。
世界第2位の経済大国である中国は2028年までにアメリカを抜いて世界一の経済大国になると予想されています。また2007年からずっと日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、今後ますます中国語が必要な機会は増えてくることでしょう。
取引先に中国企業が増えてきたり、中国人のお客様に対応するため従業員に中国語を学ばせたいと思った場合、どのような事を考え、決めていく必要があるのか見ていきましょう。
1,研修目的の明確化
~マインドセット:なぜ中国語研修を行う必要があるのか~
【人事担当者の悩み】
〇中国担当者に今の業務に直結する中国語を身に付けさせたい
メール、電話、ミーティング、プレゼンなどビジネスに必要な中国語力を強化したい
中国出張が頻繁にあり、通訳者はいるが自身でも中国語を理解したい
中国人の文化やビジネスマナーを理解したい
〇中国赴任者に現地で生活できる中国語を身に付けさせたい
現地で困らないための必要最低限の生活中国語を覚えさせたい
現地の情報や文化、生活習慣を知っておきたい
〇従業員にHSKや中国語検定の資格を取得させたい
社内外への中国語向上の指標として
従業員のモチベーション向上のため
〇中国人のお客様に対応できる中国力を底上げしたい
お客様に中国語で挨拶してイメージを良くしたい
中国のお客様をより獲得したい
〇日本全国の拠点で同時に研修を進めたい
中国語レベルの異なる多数従業員を同時に研修したい
〇目に見える研修結果を得たい
会社や上司への報告用として成果を確認したい
単純に言葉のみを伝達するだけであれば、日本語が流暢な中国人通訳を雇うことで解消されますが、日本での業務に精通した従業員を中国に出張・赴任させる場合、中国語スキルを身に付けることで文化や考え方、商習慣の違いも理解することができます。
また個人対個人の人間関係を重視する中国人は、「中国語が話せる日本人」「話そうと努力する日本人」を非常に好意的にとらえ今後の信頼関係構築にも役だっていきます。
中国語研修を行う目的を明確化し、研修参加者含め社内で共有することで、より効果的な研修成果を得られることができるでしょう。
2,目標設定
~現状どのくらいのレベルでどの程度の中国語レベルを目指すのか~
義務教育で勉強して来ている英語と違って中国語はそのほとんどが初学者です。一般的にHSK3級レベルを日常会話レベルとしていますがまったく中国語が初めての学習者であれば150時間程度が学習時間の目安となります。仮に週1回1時間中国語スクールに通学すると考えると約3年程度かかる計算になります。
例えば通訳なしで商談する場合、1対1でビジネス中国語を身に付けたいとなるとHSK6級試験で8割程度の得点が必要で、この場合少なくとも800時間以上の学習が必要です。週1回1時間の学習であれば15年以上が目安となります。
≪イーチャイナアカデミー学習レベルチェック表≫
【英語との違い】
小中高と英語の義務教育を受けてきている日本人が英語を学ぶことと、中国語を初めて学ぶことはまったくの別物と考える必要があります。英語研修と同様に考えているために、日本にいる日本人に英語研修を行うのと同じ予算で中国語研修を始めることがありますが、これは社内の予算が通しやすいからという理由がほとんどです。新しい言語を一から身に付けるとなると時間と費用、学習者のモチベーションを考え、しっかりと準備計画をする必要があります。
【漢字圏と非漢字圏】
同じアジアの漢字圏である日本人にとって中国語は漢字で意味が予測できるので、語彙習得に非常に有利です。中国の常用漢字が約2,500字で日本は2,136字、そのうち形と意味が同じものが約1,000字程度あります。「目」から学習を始めるので「読む・書く」の習得が早く、漢字のハードルをすでにクリアしているところからスタートすることができます。
反面、非漢字圏の学習者は発音域が日本語より多い人がほとんどで、「耳」から覚えるので「話す・聞く」の習得が早いです。よく上級の中国語試験に合格しているが中国語がほとんど話せないという声を聞きます。「読解」中心の学習ばかり進め、語学習得の一番の目標である「話す・聞く」を疎かにしていたことが原因です。中国語ネイティブの正しい発音をたくさん聞き、声に出して話すことが上達の秘訣と言えます。
【客観的な目標設定】
仕事をする傍らで中国語を身に付けるということは、簡単なことでなく、忙しいビジネスマンではよほど意思がしっかりしていないと途中で挫折していく人が多いのも事実です。ある大手企業では中国語を身に付けさせるために、1年間業務は何もせずに中国の大学に留学させるという話を聞きました。確かに留学が最も中国語スキルの向上に繋がりますが、そこまでできる企業の方が少ないでしょう。学習者の現在の中国語レベルの立ち位置をしっかり確認し、無理なく確実に上達できる学習計画を立てていくことをお勧めします。
3,研修期間
~どのくらいの研修期間を想定しているのか~
現在の中国語レベルと達成したい目標が決まってくることで必要な学習時間が見えてきます。中国語初学者の方が、日常会話レベルという目標を最初に掲げることが多いですが、これを1年で達成しようとすると、HSK3級相当達成:150h÷50週=週3時間程度の学習が目安になってきます。仮に1年程度でビジネスレベルを達成したいとなると、正直かなり困難な目標で、中国に留学し中国語漬けの環境で毎日真剣に中国語に向き合う必要があります。
中国語研修を決定する人事担当者の方と、実際の研修参加者の方との目標設定や期間の共有が非常に重要で、ここが間違っていたりズレていたりすると、研修の齟齬が出てしまい、その効果や目的を見失ってしまいます。
ある大手ホテルで、中国人観光客が非常に増えてきたので中国語対応できるスタッフを増やしたいという希望があり、中国語初学者の方々に週1回1時間のグループの集合研修を行いました。1年程度経ち、簡単な挨拶やご案内ができるようになったので、教育担当の方はスタッフたちに中国人のお客様に積極的に声をかけるよう促しますが、中国語で案内された中国人のお客様は、「このスタッフは中国語対応できるスタッフだな」と思い、早口でたくさんの中国語を話しかけました。スタッフたちは何を言われているかほとんど聞き取れないので、中国語で挨拶や案内することが逆に怖くなってしまったという事例がありました。教育担当の方の研修結果への期待値と実際に研修を行う参加者の齟齬から来た例だと言えます。
4,中国語研修への予算
~どのくらいの費用が必要なのか~
中国語に限らず、語学研修にかかる費用は講師のレベル、受講形態、受講回数・期間でその金額が決まってきます。自社の中でどの部分が優先順位が高く必要であるかを選定の際に予め決めておくと良いでしょう。
【講師の質とレベル】
登山において優秀なガイドが重要なように、語学の習得には優秀な講師が重要です。どのルートで登るのが安全で最短か、どんなリスクが潜んでいるか、登山ガイドがアドバイスするように、生徒を導くのが中国語講師の役割です。
中国語が話せるからと言って中国語講師ができるわけではありません。教えるためには専門のスキルと経験が必要です。中国では、外国人に中国語を教える「対外漢語」という学問もあり、先生になるための体系的な知識を学ぶことができます。ただ中国語を話せるだけの中国人とこういったプロの講師ではその教わった結果に大きな差があります。
ある大手企業では大学院生の中国人に講師派遣研修をお願いしていましたが、2年毎で卒業して帰国または就職してしまいますので定期的に人の入れ替わりがあり、当たり外れがありました。責任感がない学生講師では夏休みや春節休みなどの長期休暇で自分を優先するので不在になることもあり、研修スケジュールに穴が空くこともありました。学生なので比較的リーズナブルな費用ではありますがスケジュールの調整など余計なコストが発生している例です。
≪イーチャイナアカデミーのプロ講師陣≫
【受講形態】
◎講師派遣
メリット :移動時間のコストが不要
職場の慣れた環境でレッスン受講できる
デメリット:1レッスン単価は割高(同時に受講できる人数が集まればコストダウンできる)
集合研修は場所、時間、レベル、カリキュラムを揃える必要がある。
◎マンツーマンレッスン(通学)
メリット :学習効果が最も高く、内容やレベルに講師が合わせてくれる
デメリット:コストが割高、移動の時間コストがかかる
◎グループレッスン(通学)
メリット :同時に受講できる人数が集まればコストダウンできる
学習仲間がいてモチベーションの維持がしやすい
デメリット:場所、時間、レベル、カリキュラムを揃える必要がある
◎オンラインマンツーマンレッスン(通学)
メリット :学習効果が高く、内容やレベルに講師が合わせてくれる
移動のコストが不要、受講場所を問わない
デメリット:受講状況を人事担当者が管理しづらい
◎オンライングループレッスン(通学)
メリット :移動のコストが不要、受講場所を問わない
同時に受講できる人数が集まればコストダウンできる
デメリット:場所、時間、レベル、カリキュラムが揃う必要がある。
通信や参加者への設定が必要
◎eラーニング
メリット :コストが割安で学習の質が均一
デメリット:通信設備が必要、実践練習がしづらい
モチベーションの維持が本人次第
5,研修の決め方
企業として「中国市場の獲得」という戦略を定めた後、社内の中国語研修参加者の募集や研修先の選定、それぞれのスケジュール調整など業務は多岐に渡ることと思います。その際、語学研修の企業としての方針を社内で決めておくと、その後の調整がスムーズに行えるでしょう。
⓵研修パフォーマンス優先
目標とする中国語レベルと現在のレベルから逆算し、そのギャップを埋めるために必要な回数と期間を割り出し研修内容をプランニングする
②予算優先
予算内で収まるように期間と回数を予め決めておき、その中でできることを最大限にプランニングする。
③上限内で自由に
予め受講できる最大のレッスン数を決めておき、受講者に期間内で自由にレッスンを受講させる。
ある私立の中高一貫校で放課後語学スクールという形で、生徒が中国語、フランス語、スペイン語の授業を自由に参加できるという活動を行っていました。1年間で60分5回のクラス講座で、できればHSK1級(通常50hの学習が必要)を取得されたいと希望されていましたが、予算を重視しすぎたため中国語に興味を持ってもらう程度の結果となってしまいました。生徒の自主参加なので初めの頃の参加者が最も多く、次第に人数が減っていき、かつ次のレッスンまで1~2か月の期間が空くため前回の内容をほぼ忘れてしまう状況でした。保護者向けには英語以外の多言語を学習する機会があるとアピールはできるかもしれませんが中国語習得にはあまり結びつかなかったように思います。
この例のように会社や学校として「中国市場の獲得、中国人顧客の獲得」という目標を達成させるために「従業員に中国語を覚えさせたい語学研修設定側」と、「会社の命令で無理やり語学研修に参加させられる従業員」では往々として、齟齬やズレが発生し語学研修がうまくいかないことがあります。
人事部や教育部門の担当者の方は「会社がここまで時間と費用を使っているのになぜ成果を出せないの?」という声があり、参加者からは「普段の業務が忙しく、学習する時間が確保できない」など、それぞれの声を聞きます。また本人には語学研修や中国語習得に対してやる気があるにも関わらず、直属の上司の理解がなく、研修時間のスケジューリングをしてくれないので参加できないといったこともありました。
ある人事担当者の方からは「語学研修は水に砂を撒くようなもので結果が見えづらい」という声もありましたが、重要なのはやはり社内で「研修目的の明確化」をまず行い、共有することです。研修に参加させたい人事担当と、そもそもあまり参加したくない研修者ではそもそも向かっている方角が違っているのです。研修設定者と参加者、及びそれに関わる周りの理解や認識が同じ方向を向いていることで語学研修の効果を最大化させることができます。
いかがでしょう。以上のようなことを事前に考えておくと効果的で成果の見える中国語研修に繋がっていきます。事前の問合せで親身にしっかりと提案をしてくれる研修先を選んでいきましょう。
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