おすすめ中国語映画【给阿嬷的情书】

 

“池袋中国語コラム”とは・・・

中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国語学習者にお勧めの中国映画をご紹介します。映画を見ることで中国に対する歴史や文化などの理解が深まるとともに日常的に使える中国語表現をたくさん学ぶことができます。気になる映画はぜひチェックしてみてください。

 

【映画『给阿嬷的情书』——半世紀を越えて受け継がれる情義の物語

『给阿嬷的情书』は2026年4月17日に中国・汕頭でプレミア上映され、4月30日に潮汕地域を中心に公開、5月3日から全国公開された中国映画です。心を打つストーリーと温かな人間ドラマが口コミで広がり、多くの観客を感動させた話題作となりました。

その後は海外でも順次公開され、6月には香港、マカオ、シンガポール、マレーシアで上映されています。日本では6月26日より『おばあちゃんへのラブレター』(英題:Dear You)として公開されました。深圳出身の藍鴻春(ラン・ホンチュン)監督による「潮汕三部作」の完結編にあたる作品です。

本作は、血のつながりのない一人の女性が、半世紀以上にわたり約束を守り続け、一つの家族の希望を支え続けた感動の物語です。

あらすじ——タイで明かされた半世紀の秘密

物語は、潮汕出身の青年・暁偉が、祖母が大切に保管してきた手紙を手に、長年音信不通だった祖父を探すためタイを訪れるところから始まります。しかし、そこで祖父・鄭木生はすでに亡くなっていたという事実を知りました。

さらに驚くことに、祖母・葉淑柔のもとへ半世紀以上にわたって届いていた手紙や送金は祖父からではなく、祖父とは血縁関係のない一人の女性・謝南枝が、祖父の代わりに送り続けていたのでした。

この映画は、海外へ渡った華僑たちが異国で生き抜いた苦労を描くだけでなく、一人のごく普通の女性が約束を守るために長年尽くし続けた、その深い愛情と献身を描いています。涙を誘う演出に頼ることなく、一通一通の手紙や何気ない日常、そして長い年月にわたる「待つこと」と「守ること」を丁寧に積み重ねることで、観客の心を静かに揺さぶります。

「僑批」とは何か——世界記憶遺産に登録された手紙

作品の中心にあるのは「僑批(きょうひ)」です。潮汕・閩南の方言で「批(pī)」は「手紙」を意味し、僑批とは海外の華僑が故郷の家族へ送った手紙と送金を合わせたものを指します。

僑批は「銀信」とも呼ばれ、アヘン戦争後から1980年代にかけて、膨大な数の華僑が故郷へ想いと生活費を届ける手段として使われてきました。2013年6月、僑批档案はユネスコの「世界の記憶(世界記憶遺産)」に登録されています。国学の大家・饒宗頤氏は僑批を「僑史の敦煌」と称えました。

一枚の紙に、家族への愛情と異国での苦労のすべてが込められている——それが僑批という文化なのです。

素人俳優と潮汕語が生むリアリティ

全編を通して潮汕語で語られ、主演は全員が演技経験のない一般の人々です。そのため登場人物たちは、まるで身近にいる祖父母や近所の人々のように自然で親しみやすく、素朴でありながら胸を打つ演技が高く評価されています。

派手な演出やあからさまな感動の押しつけはありませんが、一通の手紙、一つの小さな出来事、そして半世紀以上に及ぶ変わらぬ思いが少しずつ積み重なり、物語の終盤には多くの観客が涙を流しました。

作品が伝える「情義」という価値観

この作品が最も伝えたいのは、現代社会で少しずつ忘れられつつある、中国人が大切にしてきた「情義(人と人との情と義理)」や「真・善・美」といった価値観です。

謝南枝は鄭木生とは血縁関係がありません。それでも恩義に報いるため、そして約束を守るために、半世紀以上にわたって彼の家族を支え、僑批を送り続けました。その姿は、中国文化に根付く「滴水之恩当涌泉相报」という精神や、「一諾千金」という価値観を象徴しています。

そして「情義」という言葉を、単なる理念ではなく、一生をかけて実践する生き方として描き出しているのです。

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映画に登場する中国語の名言と意味

映画の中で祖母は次のように語ります。

做人要有情有义,无情无义的人不能交往。
zuò rén yào yǒu qíng yǒu yì, wú qíng wú yì de rén bù néng jiāo wǎng.
→人として情や義理を大切にすべきであり、情や義理を欠く人とは深く付き合うべきではない

そしてラストでは、次の言葉が印象的に響きます。

做人要有情有义,自然有贵人来扶持。
zuò rén yào yǒu qíng yǒu yì, zì rán yǒu guì rén lái fú chí.
→人として情義を大切にしていれば、自然と支えてくれる人が現れる

作品全体を貫くのが、この成語です。

滴水之恩当涌泉相报
dī shuǐ zhī ēn dāng yǒng quán xiāng bào.
→わずかな恩であっても、その恩は決して忘れず、何倍にもして報いるべきである

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まとめ

『给阿嬷的情书』は、単なる感動作にとどまらず、中国文化の根底に流れる「情義」という価値観を静かに、しかし力強く伝えてくれる作品です。潮汕語の響き、僑批という歴史文化、そして血縁を超えた人と人とのつながり——中国語を学ぶ方にとって、言葉の背景にある文化を知る絶好の一本と言えるでしょう。

機会があれば、ぜひご覧になってみてください。

 

 

 

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