スタバが新疆風に変身? 伝統文化を取り入れた「星巴扎」

 

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【スタバが新疆風に変身? 伝統文化を取り入れた「星巴扎」】

 2026年9月29日、スターバックスが新疆ウイグル自治区のウルムチに、初となる2店舗を同時にオープンしました。1店舗目はウルムチ天山国際空港店、そしてもう1店舗が、国際大バザールの隣に構えた「星巴扎(Xīngbāzhā)」です。

 この「星巴扎」が大きな注目を集めています。スターバックスはこれまで全国7店舗で無形文化遺産をテーマにした店舗を展開してきましたが、今回それを「旗艦店」へと格上げしたのです。地元の無形文化遺産の継承者たちと連携し、伝統工芸や民族文化をコーヒーと組み合わせた独自の空間を生み出しました。新疆の文化に触れられる新たな観光スポットとしても期待されています。

バザール風の外観をもつスターバックス「星巴扎」
国際大バザールの隣に開いた「星巴扎」

「巴扎」ってどういう意味?

 「バザール(巴扎 / bāzhā)」とは、ウイグル語で「市場」を意味する言葉です。スターバックスの中国語名「星巴克(Xīngbākè)」と組み合わせて、「星巴扎」という店名が生まれました。

 一般的なスターバックスが、主にコーヒーを飲んだり、休憩したり、人々が交流したりする空間を提供しているとすれば、「星巴扎」の特徴は、新疆の地域文化を店舗空間そのものに取り入れようとしている点にあります。店内に足を踏み入れると、おなじみの緑色のロゴだけでなく、現地の伝統建築を思わせる装飾や、色鮮やかな民族模様、そして音楽文化にも触れることができます。

1 伝統建築とバザール空間

 「星巴扎」のデザインは、新疆の伝統的なバザールの空間構成から着想を得ています。バザールは、商品を売買する市場であるだけでなく、人々が交流し、集い、さまざまな文化に触れる生活の場でもあります。

アトラス織の色彩を取り入れた「星巴扎」の店内
アトラス織の色彩を取り入れた店内

 この店舗では、伝統的なバザールの幾重にも重なる起伏のある屋根の形状を取り入れ、そのデザインコンセプトを店内の空間にも広げています。カウンターは、シルクロードを旅した古い木箱をモチーフにしたものだそうです。

新疆の工芸品が並ぶ「星巴扎」の店内
新疆の工芸品が並ぶ店内

 開放的なレイアウトと豊かな装飾が、にぎやかで多様性に富んだ伝統的な市場を思わせます。画一的なデザインの現代的なコーヒーショップと比べると、ここでは地域ならではの特色を感じられる空間づくりが重視されています。来店客は、普段と同じようにコーヒーを注文して休憩できるだけでなく、店内の空間を通して新疆の文化を観察し、体感することもできます。

2 アトラス織:色彩と模様で語る新疆の物語

 アトラス織(艾德莱斯绸 / àidéláisī chóu)は、新疆を代表する伝統的な絹織物の一つです。鮮やかな色彩、変化に富んだ模様、そして独特のろうけつ染めの技法が特徴です。模様は流れるように交差し、色彩のコントラストも強く、一目でそれと分かる個性的なデザインが魅力です。

鮮やかな色彩と幾何学模様のアトラス織
鮮やかな色彩と模様が特徴のアトラス織

 「星巴扎」では、こうした色づかいが壁面をはじめとする店内の装飾に取り入れられています。さらに「星巴扎」限定シリーズとして、アトラス織の模様をあしらったマグカップや皿、タンブラーも登場しました。鮮やかな色彩と変化に富んだ柄が、手に取る一つひとつに豊かな民族色を添えています。

アトラス織の模様をあしらった星巴扎限定のマグカップと皿
アトラス織の模様をあしらった限定グッズ

 伝統的な織物の美意識と、現代のコーヒー文化の融合。何気なく腰かけた席のまわりにも、地域の文化が息づいています。来店客は、コーヒーを味わいながら、こうした細部を通して新疆の伝統工芸ならではの魅力に触れることができます。

3 民族楽器と歌舞:文化を「見る」ものから「体験する」ものへ

 「星巴扎」がほかのカフェと大きく異なる点は、文化を静的な展示によって紹介するだけでなく、音楽や歌舞も店内に取り入れていることです。

店内で披露される十二ムカームの歌舞
十二ムカームの歌舞が披露される

 店舗2階では、「十二木卡姆(Shí’èr Mùkǎmǔ / 十二ムカーム)」の継承者と共同でつくり上げた歌舞が披露されます。十二ムカームは、ウイグル族に伝わる壮大な古典音楽組曲で、それ自体がユネスコの無形文化遺産に登録されています。しかも、来店客が一緒に踊りの輪に加わることもできるそうです。

 伝統的な歌や踊りがカフェの中で披露されることで、来店客が文化に触れる方法も変わります。メロディーやリズム、踊りの動き、そしてその場の雰囲気を通して、より直接的に文化を感じることができます。

4 ご当地グルメまで:文化を丸ごと体験できる空間へ

 「星巴扎」の地域色は、店内の装飾だけでなく、ドリンクや軽食のメニューにも表れています。

 ドリンクでは、紅ザクロのヨーグルト風味フラペチーノ(红石榴酸奶星冰乐 / hóng shíliu suānnǎi xīngbīnglè)や、奶皮子(nǎipízi / ミルクの皮)を使った風味豊かな塩味のミルクティーなど、新疆ならではの食材や味わいを取り入れた一杯が用意されています。

羊肉入りの焼きパイ
羊肉入りの焼きパイ

 フードも充実しています。ナッツ入りのバクラヴァ(坚果巴克拉瓦 / jiānguǒ bākèlāwǎ)、ナッツとチョコレートの焼き菓子「巴哈力(bāhālì)」、そして羊肉入りの焼きパイ(羊肉烤酥包 / yángròu kǎosūbāo)。いずれも、この地域に根付いた豊かな菓子・食文化を物語る品々です。

紅ザクロのドリンクと星巴扎限定の紙袋
新疆限定のドリンク

 なお、これらの新疆限定メニューの一部は、国慶節の期間中に全国41都市・2,700を超える店舗で期間限定販売されました。一地方の食文化が、コーヒーチェーンを通じて全国へ届けられたことになります。

 こうしたメニューを通じて、来店客は視覚だけでなく、味覚からも新疆ならではの特色を感じることができます。つまり、コーヒーを楽しむことが、地域の文化を知るための一つのきっかけとなっているのです。

おわりに

 スターバックスの「星巴扎」は、新疆の民族文化と現代のコーヒー体験を融合させた店舗です。アトラス織の色彩や特色ある装飾、十二ムカームの歌舞、地元の風味を取り入れたドリンクやフードなど、細部に至るまで新疆文化ならではの魅力が表現されています。

 こうした取り組みは、来店客に新鮮なコーヒー体験を提供するだけでなく、伝統文化を新たな形で表現し、より多くの人々に伝えていく可能性も広げています。ウルムチを訪れる機会があれば、ぜひ立ち寄ってみてください。

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