“池袋中国語コラム”とは・・・ |
中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国語学習者にお勧めの中国ドラマをご紹介します。ドラマを見ることで日常的に使える中国語表現をたくさん学ぶことができます。気になるドラマはぜひチェックしてみてください。ドラマをよく見る方は中国語の上達も早くなります!
【人民的名义:2017年】(rénmín de mínɡyì)
日本語タイトル【人民の名にかけて】
タイトルは「人民の名にかけて」という意味です。政府官僚の汚職問題を扱い、真相を追及していくという政治ドラマで、このようなジャンルは「反贪剧(反汚職ドラマ)」と呼ばれます。放映当初から視聴率を順調に上げ続け、現地の衛星放送の最高瞬間視聴率は8%に達しました。日本でいえば80%にも相当する、高視聴率を叩き出した空前の大ヒット作です。
著者の周梅森(Zhōu Méisēn)氏は「中国政治小説の第一人者」と呼ばれ、数々のベストセラーを生み出してきました。本書は著者が8年の歳月をかけた力作です。周梅森氏はドラマの脚本も務めています。
漢東省という架空の省を舞台に、検察官が共産党官僚らの汚職事件を捜索するというストーリーです。主人公は、不審な事故の謎を追うため赴任した反汚職総局の若き局長です。正義感あふれる新時代の中国幹部のイメージを強く印象付けました。
扱われたテーマは、処級(課正職)クラスの官僚が4年間で2億元を収賄した事件や、汚職副市長の米国逃亡事件などで、随所に実在の事件を思わせるものがあり、非常にリアリティがあります。外国籍の愛人、SWATの出動、うずたかく積まれた大量の札束といった生々しいシーンが登場することも話題を呼びました。
面白いのは、お札を数えるシーンが話題を呼んだことです。中国では神業のようなお札の数え方を「花式点钞」と呼び、そのような技術に長けた銀行員などがテレビ番組で披露することもあります。ドラマ内でも、まるで琵琶を弾いているかのような、目にもとまらぬ速さの「手挥琵琶式点钞」が登場しました。
また、ドラマの主な悪役が中国の政府官僚の幹部たちである点がとても意外であるとして、海外からも注目を集めました。英BBCは、「腐敗事件を大胆に再現」や「検察機関高官のイメージを再構築」などと表現しました。また米ニュース専門放送局CNBCは「もしも、中国の反腐敗運動がテレビやネットの画面上で見られたら」というテーマで長時間のスペシャル番組を放送しました。
出演したのはいずれも重厚感のある俳優陣です。陆毅(Lù Yì/ルー・イー)が主人公を演じました。1998年に出演した『永不瞑目』が出世作で、麻薬集団の中に送り込まれた警察からのスパイ役を好演しています。しかしその若き警察官のイメージが根強く、当時の大ブレイクを越えるような作品には長らく恵まれずにいたのですが、本ドラマの大ヒットによりほぼ20年ぶりに再ブレイクを果たしました。この作品で第22回華鼎奨ドラマ部門最優秀主演男優賞を見事受賞しています。
ドラマの中で描かれる中国政府の政策や官僚の姿は、中国人にも実態がよくつかめていないので、外国人の私たちにはなおさら未知の領域です。それをドラマというわかりやすい形で知ることができるので、中国の時事ニュースや現代社会を理解するのにも役立ちますよ。