おすすめ中国語映画【最爱】

 

“池袋中国語コラム”とは・・・

中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国語学習者にお勧めの中国映画をご紹介します。映画を見ることで中国に対する歴史や文化などの理解が深まるとともに日常的に使える中国語表現をたくさん学ぶことができます。気になる映画はぜひチェックしてみてください。

 

中国についてよく分かる傑作映画10

社会問題・都市と地方・生活様式の違い

今回は主に、文化大革命以降の歴史、社会問題、現代中国の生活様式や食文化の違いに関する映画をご紹介いたします。急速に発展を遂げた現代の中国を知る上で、文化大革命以降の歴史は非常に重要です。

また社会問題では、現代において非常に身近で複雑なテーマを扱った映画をご紹介させていただきます。時には目を覆いたくなるような場面もございますが、ぜひ最後までご覧下さい。

【最爱:2011年】(Zuì ài)

2011年製作/100分/香港、中国
邦題:最愛

ローマ国際映画祭(第6回)個性的女優賞

監督:顾长卫(Gùzhǎngwèi)
主演:章子怡(Zhāngziyí)、郭富城(Guōfùchéng)、陶泽如(Táozérú)

 

中国で、一つの村ないし複数の村の数十世帯で数十人、ひいては百人以上の人々がエイズウイルス(HIV)に感染しました。
これらの村は「エイズ村」と呼ばれています。
映画の舞台となった河南省の山奥、娘娘廟は「エイズ村」でした。
この「エイズ村」の感染のルートは献血と輸血です。

中国の地方当局が一九九〇年代、貧しい農民に輸血用の有償献血を奨励した「売血」政策により、多くの村民がHIVに感染しました。
売血所では、経費節減のため、採血に使う注射針の使い回しが行われたほか、設備も衛生情況も基準に達していない不法のものでした。
さらに規定された手順どおりに作業していない成分献血がHIVの蔓延を助長しました。

これらのHIVの農村での大流行は貧困によるものです。
一部の村では、血を売ることによって生計を立てている者もいました。
現在、中国政府は医療支援などを行っていますが、未だ十分な支援を受けることができない村もあります。

この映画では目を覆いたくなるような現実が、そのまま描かれています。
映画の始まり方も容赦ありません。
この物語は、ある少年が毒リンゴを食べ亡くなってしまうことから始まります。
毒リンゴは少年の父を恨みに思う村人によるものでした。
少年の父は村で売血を斡旋し、不潔な注射針の使いまわしでHIVを蔓延させた男だったのです。

実は、この父の弟である赵得意(Zhào déyì)も売血によりHIVに感染していました。
この物語は、同じように売血によりHIVに感染してしまった商琴琴(Shāng qín qín)と得意を中心に描かれています。
二人の恋愛を中心に物語が展開しますが、その過程にはHIVへの差別や、村の貧困や無知が描かれています。
この映画は度重なる内容の手直しと上映延期の結果、愛情物語がメインになってしまったという前評判だったのですが、実際に見ていただければ分かるように、二人の恋愛物語というだけではありません。
二人が最後まで人間らしく懸命に生きる姿から、より一層この問題の深刻さ、そして憤りややるせなさを感じます。

 

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