“池袋中国語コラム”とは・・・ |
中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、子供向け中国語教育、中国語バイリンガルを育成したい方にお勧めの情報・ノウハウを提供しています。
【高考】(gao3 kao3)
中国の大学入試と言うと、過熱する受験戦争を想像する日本人の方が多いのでしょうか。6月の大学一斉入試「高考(gao3kao3)」は有名です。中国では現代の「科挙」とも呼ばれ、中国の学生にとっては「一考定終生」といって、一回の試験によって自分の一生が決まってしまうほどで、一生の一大事と言われています。
それでは、中国の「高考」と日本のセンター試験、いったいどこが違うのでしょう。中国で毎年6月の7、8、9日(省によって8、9日の場合もあります)には、年一度の大学入試試験が行われます。この三日間の試験は「高考」(全称:全国高等学校招生全国统一考试)と呼ばれます。「高考」は三日間に分けて実施され、国語(中国語)・数学・英語が必修、それ以外に選択科目を受験します。理系と文系によって、選択科目はそれぞれ違います。理系の場合、物理・化学・生物が選択科目となります。文系の場会は、政治・歴史・地理が選択科目となります。「高考」は省ごとに実施され、国家統一試験とは言えませんが、この高考の結果が大学入試のほぼ全てとなるので受験する本人や親たちは、まさに命がけといってもいい程の「受験戦争」に臨むことになります。
高考の最大の特徴は、「競争が非常に激しい」ということです。日本のセンター試験の受験者は、例年50万人程ですが、中国では約940万人が受験します。日本に比べ、受験者数に対しての大学の定員が少ないのも中国の受験競争が激化している原因の一つです。また、中国の大学はほとんど国公立大学、その0.06%の「国家重点大学」と定められた大学は、政府が優先的に支援にするとしています。例えば、北京大学や清華大学などが日本でも有名です。受験生が、皆この「国家重点大学」を目指して勉強するのです。
中国の「高考」には日本の私立大学のような大学個別の入試はほぼ無いので本当に高考だけの一発勝負です。そのため、試験結果が受験者の一生を左右するので、日本でもニュースになるような、カンニングや替玉受験、果てには自殺者まで出てしまうような痛ましい事件も発生します。日本で想像する以上の過酷な受験事情が伺えます。また出身地や民族によって合格ラインの点数が変わります。例えば北京出身の受験生より、北京外の出身者は必要な得点が高くなるので、自分の出身地以外の大学を受験する場合は不利になったりします。都市部の大学への流入を防ぐための処置らしく、戸籍を乗っ取ったりという行為まで発生しているようです。
試験当日では、縁起を担ぐためにお母さんたちがチャイナドレスを着て試験の応援をしたり、試験勉強のためや希望する大学通学のために引っ越しをしたり、家族ぐるみで応援するだけでなく、受験会場までタクシー会社が無料送迎したり、警察が忘れ物を取りに受験生を送迎したりと社会全体でも「高考」を応援しています。
仮に「高考」に失敗し、希望の大学に入れなかった場合はどうなるのでしょう。中国では日本の浪人にあたる言葉として「復読」(fù dú)があります。ただ日本のように予備校があるわけではないので、もとの高校の3年生と一緒に、もう一度一年学ぶことになるのでイメージとしては日本の「留年」に近い形です。ここまで中国の「高考」について紹介してきましたがいかがでしょう、あなたは日本と中国のどちらで大学受験を希望しますか?