“池袋中国語コラム”とは・・・ |
中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国語学習者にお勧めの中国映画をご紹介します。映画を見ることで中国に対する歴史や文化などの理解が深まるとともに日常的に使える中国語表現をたくさん学ぶことができます。気になる映画はぜひチェックしてみてください。
中国についてよく分かる傑作映画10選
社会問題・都市と地方・生活様式の違い
今回は主に、文化大革命以降の歴史、社会問題、現代中国の生活様式や食文化の違いに関する映画をご紹介いたします。急速に発展を遂げた現代の中国を知る上で、文化大革命以降の歴史は非常に重要です。
また社会問題では、現代において非常に身近で複雑なテーマを扱った映画をご紹介させていただきます。時には目を覆いたくなるような場面もございますが、ぜひ最後までご覧下さい。
【洗澡 Shower:年】(Xǐzǎo)
1999年製作/92分/中国
邦題:こころの湯
テサロニキ映画祭(1999)グランプリ、Golden Alexander、観客賞
トロント国際映画祭(1999)国際批評家連盟賞
サンセバスチャン映画祭(1999)監督賞、OCIC賞
ロッテルダム映画祭(2000)観客賞
監督:张杨(Zhāngyáng)
主演:濮存昕(Púcúnxīn)、姜武(Jiāng wǔ)、朱旭(Zhū xù)
中国の銭湯の文化や、障害を抱えた家族、立ち退き問題について、よく分かる作品です。
この映画では、陕北(Shǎn běi)やチベットの奥地等、さまざまな入浴シーンが出てきますが、監督はそれらを通じて、人の心を表現したかったのだと言います。
この物語は、刘大明(Liú dàmíng)が、父と弟の住む実家に帰京することから始まります。
父は弟とともに銭湯を経営しており、そこは地元の人々の憩いの場所です。
そんな北京の下町、胡同に根付いた銭湯で、地元の人々が励まし合い、時に喧嘩もしながら懸命に生きている様子が描かれています。
ホッとさせられるような映画ですが、知的障害を持った弟とその家族の問題や、立ち退き問題等、厳しい現実も容赦なく描かれています。
大明は知的障害のある弟を恥じ、隠して生きてきました。
そんな後ろめたさもあって、なかなか地元に戻らなかった大明と父との感情的な場面は、まさに家族の問題を赤裸々に語っています。
立ち退き命令によって親しい人々が皆バラバラになり、父との思い出の場所でもあり、みんなに会える場所でもあった銭湯も、ついに取り壊されてしまいます。
そこで誰もが感情を露にできなかったのにも関わらず、弟だけは自分の感情や想いを発します。
その正直すぎる気持ちが、立ち退き問題の現実をよりシビアに訴えます。
张杨監督は、第六世代の監督で、世界的にも非常に注目されている監督です。
父親役の朱旭(Zhū xù)は芸能団体の最高権威「北京人民芸術院」の創立当時からの名優で、中国で国宝とまで言われる存在です。
弟役の姜武(Jiāng wǔ)、大明役の濮存昕(Púcúnxīn)も、有名な映画に多数出演し、数々の賞を受賞するほどの実力派俳優です。
『洗澡 Shower』予告編