おすすめ中国語映画【西干道】

 

“池袋中国語コラム”とは・・・

中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国語学習者にお勧めの中国映画をご紹介します。映画を見ることで中国に対する歴史や文化などの理解が深まるとともに日常的に使える中国語表現をたくさん学ぶことができます。気になる映画はぜひチェックしてみてください。

 

中国についてよく分かる傑作映画10

社会問題・都市と地方・生活様式の違い

今回は主に、文化大革命以降の歴史、社会問題、現代中国の生活様式や食文化の違いに関する映画をご紹介いたします。急速に発展を遂げた現代の中国を知る上で、文化大革命以降の歴史は非常に重要です。

また社会問題では、現代において非常に身近で複雑なテーマを扱った映画をご紹介させていただきます。時には目を覆いたくなるような場面もございますが、ぜひ最後までご覧下さい。

【西干道:2007年】(Xī gàndào)

2007年製作/101分/中国・日本合作
邦題:1978年、冬。

監督:李继贤(Lǐjìxián)
主演:张登峰(Zhāngdēngfēng)/李杰(Lǐ jié)/沈佳妮(Chénjiānī)

東京国際映画祭(2007)コンペティション部門審査員特別賞

 

1978年、それは2年前に文化大革命が終わり、邓小平(dèng xiǎo píng)による改革開放路線に入った年です。
まさに1978年は、中国の歴史における分岐点で、現代中国の始まりともいえる年とも言えるでしょう。
その移りゆく時代の中で地方に生きる人間たちの運命が描かれたのが、この作品です。

この映画は中国北部の田舎町「西干道」を舞台に、北京からやってきた少女と、歳の離れた兄弟の物語です。
兄、李四平(Lǐ sìpíng)は、工場で働いていますが、真面目に働いているわけではなく、休みがちです。
小学生の弟、方头(Fāng tóu)は、絵を書くのが好きですが、父親に反対されています。
そんな二人の前に、北京からやってきた少女、于雪雁(Yú xuě yàn)が現れます。
それは1978年、冬のことでした。

四平と方头は、それぞれ雪雁に特別な思いを抱きます。
四平は積極的にアプローチし、方头はその淡い恋心の意味が分からないまま、密かに想い続けます。
方头は、四平と雪雁の関係の変化を感じながら、時には四平と雪雁の噂に悩まされながら、日々を過ごします。
しかしながら、方头の日常は、決して生易しいものではありません。
小学校でのいじめに耐え、四平の悪評によって更に厳しい状況に追い込まれたとしても、懸命に方头は自分の日常を耐え忍びます。
そんな方头の視点から、四平と雪雁の出会いから別れまでが描かれています。
感情をなかなか表に出さない方头の表情が、何とも言い難い奥深さをこの映画に残しています。

于雪雁が「反革命分子の娘」というレッテルで襲われたり、たとえダンスの実力があっても入団することができない事情は、まさに改革開放路線に入った年であろうとも文化大革命の名残が根強く残っていることを想起させます。
1978年という、まさに中国にとって大事な年の雰囲気を感じさせる映画です。

 

『西干道』予告編

 

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