中国の「三胎」政策と現状

 

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中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。こちらのカテゴリーでは中国に関する豆知識を中国語を交えて紹介していきます。

中国の「三胎」政策と現状

中国政府は5月11日、2020年の中国本土の人口が14億1178万人になったと発表しました。前年に比べてほぼ横ばいですが中国では今、少子化が問題になっています。これまでの子供の出産数に関する変遷を見てみましょう。

 

1982年 独生子女政策 / 计划生育政策 dú shēng zǐ nǚ zhèng cè /jì huà shēng yù zhèng cè

一人っ子政策

(一人っ子政策を守る夫婦に光栄証を渡す)

1949年の新中国設立時には5億4,000万人程度だった人口は爆発的に増え、人が増えすぎて食料が不足する「人口爆発」が問題になりました。

有名な中国の一人っ子政策の始まりです。

 

2013年 单独两孩政策dān dú liǎng hái zhèng cè

夫婦1組につき子供が1人しかいない家庭のみ、2人までをもうけることを認める方針

その後、長年の政策の影響が続き、人口が増えすぎることよりも人口が減っていくことが問題になってきました。労働人口が減り、少子高齢化が日本でも問題になっていますが、中国は一人っ子政策により急激にそのスピードを早めました。

 

2015年 全面两孩政策quán miàn liǎng hái zhèng cè

すべての家庭、夫婦1組につき2人まで子供をもうけることを認める方針

2013年の一人っ子政策緩和も効果があまり見られず、さらに緩和に踏み切りました。

 

2021年 三胎政策sān tāi zhèng cè

夫婦1組につき3人まで子供をもうけることを認める方針

そしてさらに3人目まで認めるという緩和政策が2021年に行われました。

 

現実問題

このように中国は徐々に出産政策を開放しましたが、ここ数年の新生児の出生率から見るとまだ低下傾向が続いています。その原因は主に以下の三つがあります。

①房价居高不下(住宅価格の高騰)

 例えば、100㎡の家を購入する場合、相場としては、地方の二級都市程度でおおよそ3,000~4,000万円前後、一級都市で6,000~7,000万円前後かかり、上海や北京のような大都市となると、東京より高いです。中国では、結婚する際男性側が家を所持していないと結婚できないというならわしがあります。しかし、一般家庭の若者たちは自分の貯金で家を買うことが難しいです。そのため、多くの場合両方の親がお金を出し合い家の購入を支援します。若い夫婦にとっては未来はまだ何十年のローンが必要です。更に多くの家庭は基本的な住宅問題さえ解決できないので、彼らは生活を保障する一番いい方法は子供を生まないことです。

②教育负担大(教育の負担が大きい)

  中国では「不要输在起跑线上(子供をスタートラインで負けないように)」という言葉があります。今の社会には様々な幼児教室、学習塾があふれています。他の子供に負けないために、親が毎月の教育に使う費用が年々大きくなっています。多くの家庭はこの経済力がない、もしくはこのような大きな育児圧力を受けたくない家庭は、子供を産まないという選択をします。

③女性在家庭和工作中的矛盾(女性は家庭と仕事が両立できない)

 中国では専業主婦はとても少ないです。女性が出産した後に、子供を親に預けて、職場に戻るのが当たり前のことです。そして子供を産んだ女性は家庭と仕事のバランスが取りにくくなります。女性は育児期や授乳期などを経て職場に復帰したとしても、居場所がなくなったり、大事な仕事が任されなくなったりすることも少なくないです。また、女性が直面する出産問題に偏見を持つ会社が多いです。

 一人っ子政策を緩和した後、普通の家庭では子供を産むことができないという意見も多いですが、経済的に恵まれている家庭にとっては、”三胎”を生む可能性がとても大きいです。また、多くの農村の家庭にとっては、住宅ローンや子供の教育などの負担がそんなに大きくないため、三胎政策が開放された後に、必ず多くの農村家庭が”二胎”、”三胎”を産むだろうと予測されています。

 

 

 

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