中国人の日常(公園での風景篇)~踊り~

 

“池袋中国語コラム”とは・・・

中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国赴任の方、中国出張が多い方にお勧めの情報・ノウハウを提供しています。

【中国人の日常(公園での風景篇)~踊り~】

中国を初めて訪れる日本人が圧倒される風景の一つに公園の様子があります。日が暮れてから大勢の人が公園に集まり踊っている姿です。音楽も大音量です。日本の夜8時の公園なんてひとけはありません。たいていその時間は家で一家団欒を楽しんでいる時間です。それが中国ではまったく違います。おばさんやママさんたちが続々終結して来て、その時間野外で自分の時間を楽しみます。何ともエネルギッシュでパワーで満ちた光景です。

この公園でのダンス風景、近年さらにパワーアップしています。公園で踊り続けてうん十年という大先輩方に加え、最近では若い人もダンスを楽しんでいます。それもそのはず、中国は日本に勝るネット社会、多くのアプリや動画サイトで踊りが配信されているからです。

公園で踊ることを中国語で“广场舞(guǎng chǎng wǔ)”と言います。踊りの種類は様々でそれぞれの地域により流行りがありますが、そのひとつが“新疆舞(xīn jiāng wǔ)”です。中国西部に位置する新疆ウイグル自治区のダンスです。このダンスは公園内でもひときわ目立ち、踊っていると見物人が囲み動画を撮る人もいるほどです。ひとことで言うと、曲も衣装もまあにぎやかです。たいてい派手な衣装を持ち込み皆なりきって踊ります。男性もいれば男女ペアになり、明るく活気がある曲に合わせ手首と首をくねくね動かしながら情熱的に踊ります。見ているとこちらも手拍子したくなるテンポの良さです。ある時は公園に赤い横断幕が張られ、いくつものグループが集まり“新疆舞(xīn jiāng wǔ)”限定ダンス大会が開かれていて、それはそれはにぎやかでした。中国のおじちゃんおばちゃんは本当に元気です!

もうひとつ最近目新しいのが、“拽舞步(zhuài wǔ bù)”いわゆるシャッフルダンスです。若者たち4,5人のグループがビートのきいた曲に合わせ小刻みなステップで踊ります。よく足がもつれないなと、感心してしまうほどです。時々おもしろいのが、この若者グループのうしろ少し離れたところで、このダンスに挑戦する“阿姨(ā yí)”を見かけることです。

そして“广场舞(guǎng chǎng wǔ)”の代表的なものが“阿姨(ā yí)”世代が繰り広げる多種多様なダンスです。小さな4,5人のグループから50人以上のグループまで規模も曲調も様々です。そのいくつものグループが互いを気にすることなく音楽をかけまくって踊る姿に、中国人のおおらかさを感じます。50人以上の“阿姨们(ā yí men)”を従えるのはさぞかし上手なカリスマ“阿姨(ā yí)”かと思いきや、お腹ぽっこり薄毛あたまの“カリスマ叔叔(shū shū)”なんてこともあり、見ていて本当に飽きません。小道具を使うものもあり、扇子や長いひらひらとした綺麗なひもを使い、踊りに変化をもたせ優雅に踊ります。また珍しいダンスもあります。テニスラケットより少し小さいサイズのラケットとボールを使います。スローペースな音楽に合わせ曲線を描くように身体を動かし、ラケット面からボールが落ちることなく優美に踊ります。マジックテープでも付いているのではないかと思うほどです。 “阿姨们(ā yí men)”の体幹と技術の高さに圧巻です。

公園の朝晩の風景には、このにぎやかな多種多様な踊りが欠かせないと言っていいでしょう。つまり公園近くにお住まいの方々はもれなくこの踊りの音が毎日朝晩聞こえてくるというわけです。中国で住居選びをする際はお忘れなく。ただ年に一度ひっそりと静まった特別な時があります。それは大学受験“高考(gāo kǎo)”の時です。子ども第一、子どもの将来は良い大学に入ることだという中国人主流の考え方が、この日の静寂を生んでいるのです。

うまい下手を気にすることもなく、健康のため、仲間とおしゃべりするために外へ出てきて皆と一緒に踊り公園で過ごす。とても人間らしい平和を感じる、中国の日常風景の一コマです。

 

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