池袋中国語コラム 中国新一線都市紹介~西安~

 

“池袋中国語コラム”とは・・・

中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国赴任や出張などビジネス向けの方にお勧めの情報・ノウハウを提供しています。

【千年の古都:西安】

悠久の歴史がある場所、それが古都西安です。その昔長安と呼ばれ、世界四大文明古都の一つでもあります。現在は陜西省の省都、人口約1,020.4万人、面積10,752km2、西北地方最大の都市で、この地方の政治・経済・産業・文化の中心地です。
中国大陸のほぼ中央に位置し、中国の歴史上で最も重要な時代に13王朝の都として栄えました。西安の歴史は、紀元前11世紀に遡り、西周がここを都と定めて以来、秦・漢・隋・唐などの都として栄え、また、シルクロードの起点として、三蔵法師が旅を始めた場所としても有名です。
ここ西安は中国の歴史・文化の名所として今でも多くの文化遺産があり、中でも秦の始皇帝陵、兵馬俑坑、楊貴妃の華清池などが特に有名です。現在も市の中心部は明代に築かれた城壁に囲まれ、工業を始め、あらゆる産業と流通の中心都市として、活気にあふれ、国内外からたくさんの観光客が訪れます。

 

~観光~

回民街(huí mín jiē)

西安に行ってソウルフードを楽しみたいなら、回民街は外せません。
言うなれば、ここは “美食街” 、無数の路面店が立ち並びます。
“美食の都”と呼ばれる西安、ここにさえ行けば、西安の伝統的な食べ物の数々を堪能できます。
場所もとても便利です。西安の中心地、鼓楼の裏側に位置しているので、「鼓楼」とセットで行くのもいいでしょう。
初めて回民街を訪れると、その目に飛び込んでくる数々の光景がとても衝撃でしょう。店先に皮をはがれたばかりの羊が、丸ごと吊るされたりしています。カピカピに乾燥しきったグロテスクな臓物が、座布団のように店先に積まれてお出迎えしてくれます。これら日本ではお目にかかれない光景を、刺激的な匂いと一緒に楽しめます。
ここで食べたい!と観光客だけでなく、地元の人も食べに来るので味は確かです。何を隠そう食べることが大好きな美食家の中国人なども、わざわざ足を運んでいます。

西安の名物としておすすめは“羊肉泡馍(yáng ròu pào mó)”です。食べるまでの過程も楽しめます。注文すると、まず小麦粉を練って焼いた“馍(mó)”を渡されます。自分でちぎって、それを店員さんに渡します。しばらくすると、牛肉や羊肉のスープの中に自分でちぎった先ほどの“馍(mó)”、春雨、豆腐(これ日本の豆腐ちょっと違って味にくせがあります)、ネギ、ホロホロのお肉が入った煮込みラーメンならぬ煮込み“馍(mó)”が届きます。好みでパクチーを入れますが、入れすぎるとパクチーの味しかしなくなるので要注意です!このスープが本当に美味しいです。
代表的な“羊肉泡馍(yáng ròu pào mó)”以外にも、“羊肉串(yáng ròu chuàn)”焼き鳥の羊肉版・“柿子饼(shì zǐ bǐng)”干し柿を加工して揚げたもので、バラの味など色々な味を楽しんでみるのも良いでしょう。
そして回民街はお土産スポットでもあります。種類もたくさんで、お土産を探す時に非常に便利です。着るもの、食べるもの何でもあります。そしてなにより安いです。お土産を買うならぜひ回民街がおすすめです。
中国文化とイスラム文化の織り交ざった、見て楽しい、食べて美味しい回民街。
昔ながらの風情を感じながら石畳で食べ歩きができます

 

 

钟楼 (zhōng lóu)

ここはまさに“西安の交差点”、ここから碁盤の目をした西安の街が東西南北へと広がります。
大きさは、高さ36メートル、縦横それぞれ35.5メートル、ほぼ正方形の形をしています。鐘楼としては、中国で最大かつ最も保存の良い状態が保たれています。
地下鉄2号線 “钟楼(zhōng lóu)” 駅で下車、地上に出ることなく直接この“钟楼(zhōng lóu)”に登ることができます。
もちろん登って、上から東西南北に広がる西安の街を眺めてみるのもいいでしょう。もうひとつおすすめなのが、地下街ともいえる钟楼の下側部分です。地下鉄の出口を出ると、円形をした、“钟楼(zhōng lóu)地下ストリート”が広がります。この地下街、出口がたくさんあって、それぞれ東西南北に広がる街に出られるのですが、もうこれが迷路です。お目当ての地上の方向に出たいと思って地図をみても、あれ?ここはどこ?となります。钟楼マジックです。
季節が良ければ“钟楼(zhōng lóu)”を飾る色とりどりのお花もとても綺麗で、インスタ映え間違いなしです。夜は夜で、ライトアップがとても美しいです。この“钟楼(zhōng lóu)”のライトアップは、ギラギラしていなくて品があり、一見の価値ありです。
ちなみに、“钟楼(zhōng lóu)”と “鼓楼(gŭ lóu)”の間に広場があるのですが、ここのスターバックスもお勧めです。1階建てで、独特な形をしていて、“钟楼(zhōng lóu)”を眺めながら、古代と現代の融合とも言える不思議な気分を楽しめます。ご当地限定西安マグカップをお土産に買うのもいいですね!スターバックスはちょっと高いという方がいらしたら、ご心配なく。スターバックスをもう少し西に進んだところに、庶民の味方マクドナルドもあります。ここはとても広いので席が見当たらないということもないと思います。ちょっと観光に疲れたら、日本と変わらない味で心も身体もひと休憩するのもいいですね。

 

兵馬俑 (bīng mǎ yǒng)

シルクロードの東の出発点が西安です。ここに2000年以上の眠っていた世界遺産があります。それが「兵馬俑」です!
日本でも漫画「キングダム」が大ヒットしましたが、その中国史上初の全国統一を果たした秦の始皇帝が建てた陵墓です。面積2万メートル余り、3つの俑坑に戦車100台・陶馬600体・武士俑は8,000体近くあります。この俑すべてが東を向いています。理由は、秦の敵国が存在した方向を向いて置かれたからです。1号俑坑に入ってすぐ目に入る、この2,000体もの兵馬俑との正面からの対面は、衝撃となるでしょう。驚いたことにこの兵馬俑、それぞれ違う顔形、表情をしています。自分の知り合いに似ている人の顔が見つかると言われています。
「兵馬俑」には合計3つの俑坑と博物館(当時の衣服や武器・馬具・陶器など目を見張る貴重な文献がたくさん展示されています)がありますので、急がずゆっくり世界遺産を堪能することをおすすめします。ここで重要になるのがガイドさんです。このガイド付有り無しでは満足感が雲泥の差となります。ガイド付無しの見学は、まるで高級うなぎ重を食べに行って、うなぎを食べずにたれ付きご飯だけ食べて帰ってきたようなものです。ガイド料をけちることは絶対おすすめしません。この民間ガイドさんはとても親切で、入場チケット購入も助けてくれます。でもきっと気になるのが、ガイドさんの日本語力かもしれません。これも、コツがあります!何人かとお喋りをしてみて、日本語の上手な人を選べばいいのです。この民間ガイドさんたちは兵馬俑の入り口に多くいて、向こうから「日本人、日本人の方ですか~?」と声をかけてくれます。そして売り込みがスタートします。気軽に彼女たちと話してみてください。何人かと会話してみて、日本語が上手、かつ感じの良い方を選んでお願いしましょう。そうすれば安心、世界遺産兵馬俑を余すところなく満喫でき、始皇帝気分を味わえます。


多くの時間を費やす見学となると、心配なのが食事です。でも大丈夫です、この入口・出口ともに食事処がたくさんあります。ちなみに西安は“麺”、中国語では“面(miàn)”と描きますが、麺が主流です。ぜひとも味わって欲しいのが、“ビャンビャン麺”です。これさすがにパソコンには出てこない57画数の漢字、文字もさることながら、味も見た目もインパクト大です。麺の幅も日本ではお目にかかれないほど“宽(kuān)”広いです。生地もモチモチしてとても美味しいです。ぜひ「兵馬俑」とセットでお楽しみください!

 

大雁塔 (dà yàn tǎ)

日本でも有名な「西遊記」三蔵法師とゆかりが深いのが、この「大雁塔」です。唐の第三代皇帝の高宗が652年に、三蔵法師がインドから持ち帰った経典と仏舎利(釈迦の遺骨)を入れるために建てた塔です。塔は7階建てで、高さは64.5メートルあります。周りは広場になっているので高い建物もなく、大通りから正面にドーンと建つ塔はとても迫力があります。この広場は絶好の写真スポットです。遠近法を使って、この広場から「大雁塔」を“つまんで”みたり、“手のひらに乗せたり”と、アートな写真を撮るのもおすすめです。またこの広場“噴水ショー”も楽しむことができます。夜、ライトアップされた大雁塔を見ながら音楽に合わせたこのショーは、とてもダイナミックです。ただ休止や時間変更などもよくあるので、事前に確認してから行くことをおすすめします。
そして、「大雁塔」の後ろ側には、巨大な「三蔵法師の像」もあります。
この広場付近には高級デパートも立ち並びます。古代の建造物と近代的な建物が隣り合わせに位置し、とても不思議な空間です。夜には出店が立ち並び、お土産を買うこともできます。
ここはお食事ポイントでもあります。屋台(お店の外に椅子を並べてある場所)で、“小吃(xiǎo chī)”と呼ばれる軽食を、幾つかつまんで食べるのもいいものです。また「三蔵法師の像」近くには、格式ある中国料理店もあるので、お店に入って西安伝統の美食を味わうのもいいでしょう。ちなみに、中華料理にはもう飽きた…という方は、美味しい高級ハンバーガーなどはいかがでしょうか。“bluefrog 蓝蛙”(雁塔大悦城店yàn tǎ dà yuè chéng diàn)で検索すればOKです。日本と同じ味を食べたい時は、このお店に来ると良いでしょう。お店の雰囲気もとてもいいです。そして、行くなら月曜日がおすすめです。なんと月曜日は“买一送一(mǎi yī sòng yī)”のサービスがあるんです!“买一送一(mǎi yī sòng yī)”は中国ではよく見かけます。一つ買うともう一つプレゼントという意味です。つまり、バンズもお肉も美味しい高級ハンバーガーを1つ分の値段で2個注文できるということです。ドリンクも同様なので、嬉しい限りです。

 

城壁 (chéng bì )

西安でも一押しの観光地、それが城壁です。この城壁に登り、西安の街を一望すると中国の“歴史と現在の融合”を肌で感じることができます。
この城壁は明代のもので、現在中国に現存する最も規模が大きく、完全な状態の城壁です。長方形の形をし、城壁の長さは13.7㎞あります。4つの方向にそれぞれひとつの城門があります。東は“长乐门(cháng lè mén)”、南は“永宁门(yŏng níng mén)”、西は“安定门(ān níng mén)”、北は“安远门(ān yuǎn mén)”と呼ばれています。
“歴史と現在の融合”それは城壁の下側と上側の両方で感じることができます。
この城壁は西安の中心地に位置するので、交通手段もとても便利です。バスや車は城壁の一部アーチ形をした門の下をくぐって往来します。とても風情を感じます。また、城壁周辺にはいくつかの路地があり、飲食店、土産屋などが店を連ねます。その古びた店、石畳の街並み、両側に植えられた樹々、どれもが私たちをタイムスリップさせてくれます。

(タイムスリップ感覚できる場所その①)

その街並みを眺めながら城壁をバッグに写真を撮ると、高さ12メート城壁の迫力が圧巻です。
城壁入場にはチケットが必要です。チケットを購入するといよいよ城壁に登ることができます。またここでは絶対に“自転車サイクル”をおすすめします。城壁に登り自転車で一周することができますが、一周14kmを約2時間ほどで回ることができます。
西安は歴史と現代が共存する神秘的な都市、それをここで感じることができます。自転車を走らせながら、目に飛び込んでくる城壁の内側と外側の人々の生活のギャップ。内側には高い建物はひとつもなく、低層の古びた建物がひしひしとひしめき合う代々受け継がれた生活を感じます。外側には高層マンションが立ち並び、高級車などが往来する現代の西安が見えます。

(タイムスリップ感覚できる場所その②)

自転車に乗りながら西安の昔と今を眺め、写真を撮ったり、建物をじっくり観察したりしているうちにあっという間の1周です。ぜひ西安に訪れた時はここで、タイムスリップを感じてください。
一周するとなかなか疲れます、そんな方にはとっておきの休憩場所もありますのでご心配なく。城壁を眺めながらお洒落なお店でカフェタイム、そんな贅沢な時間を過ごせます。南の門“永宁门(yŏng níng mén)”近くにある“漫咖啡(màn kā fēi)”です。午前10時までに入店すれば、コーヒー&ワッフルのお得セットもあります。城壁を見ながら、ゆったりと旅の思い出を語り合ってはいかかでしょう。

今回は、おすすめの西安の観光地をご紹介しました。ぜひ参考にしてください!

ご存知でしたか?「春分」「夏至」「秋分」「冬至」など季節の暦は古代中国で考案され、西安が発祥であると言われています。日本にいるとこの季節の暦に大きなズレを感じます。それが西安では驚いたことに暦通りで「立秋」を迎えると、本当にその日から空気がガラッと変わり、涼しくなるのを肌で感じます。また、西安人は言います、「西安は自然災害がない!一番安全で平和な場所だ!」。確かに、台風も西安を避けて通り、地震もありません。「昔の人は賢くて、だからこそここ西安に都を築いたのだ」と。西安人は西安が大好きです。西安人であることにとても誇りを持っています。彼らを一言で表現するなら、“热诚(rè chéng)”という言葉を選びます。家族に対して、友人に、見知らぬ人に、食に対しても熱いです!見知らぬ人同士が会話を始め、それが二人、三人と増え輪になる…そんな光景は西安では当たり前です。ちょっと人との距離が空きすぎてしまったと感じる今の日本、ぜひ西安を訪れ、その人間らしい“熱”を感じて楽しんでください。きっともっと中国が好きになるでしょう!

 

池袋中国語コラム 中国新一線都市紹介~天津~へ続く

 

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