“池袋中国語コラム”とは・・・ |
中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国赴任や出張などビジネス向けの方にお勧めの情報・ノウハウを提供しています。
【江南水郷:绍兴 (Shào Xìng) 】
~紹興概要~
紹興市は浙江省の東北部に位置し、2500年以上の歴史があります。古都であって、典型的な江南水郷を代表する水の都市です。東洋のヴェニスと讃えられています。市内には縦横に水路がめぐられて、東湖や鑑湖といった湖も近くにあります。川と運河が網の目のように縦横に走り、物質を輸送するジャンク、魚をとる船、珍しい昔ながらの「脚劃船」(別名烏蓬船ともいわれる苫船)など様々な船が行き交っている。東方のベニスといわれる紹興には、まだ5000余りのいろいろな風格を持った古い石橋、アーチ橋が残されている。そこで紹興は中国石橋の博物館とも称されています。
~紹興の歴史~
今日の紹興は、紀元前6世紀後半、春秋戦国時代末に興った越王国が会稽を都としてから、発展してきた町です。1131年会稽を紹興と改名しました。昔から、陸遊、徐渭、王羲之などの文学家、画家、書道家が輩出し、歴史を秘めた様々な名所、旧跡があります。主なものに禹陵、越王台、王義之ゆかりの蘭亭と魯迅の故居などがあります。約2400年の伝統を持つ造酒では、中国十大名酒の一つに数えられている紹興酒が世界に名誉を博しています。紹興酒の中で、長い年月貯蔵された特別なものを「老酒」と言い、今の紹興は紡績業が盛んで、陶磁器、竹、金、銀細工など工芸品も多くの生産を揚げています。
~観光~
【魯迅故居】(鲁迅故居 Lǔ Xùn Gù Jū)
ここが魯迅の生家です。清朝、日本の江戸時代に建てられました。今では国家級の文化財になっています。生まれてから、1898年までの17年間はこの家で暮らしました。周の一族が集まって住んだ所です。「故郷」という小説の舞台がここになります。
【咸亨酒店】(咸亨酒店 Xián Hēng Jiǔ Diàn)
紹興料理の名店として、いつもにぎわっています。「孔乙己」(こういつき)という、魯迅の小説をお読みになった方はきっとご存じでしょう。ここが小説の舞台となりました咸亨酒店です。ここで小説に登場する紹興酒や五豆香を堪能してください。
【蘭亭】(兰亭 Lán Tíng)
市内から西南13キロメートルの蘭諸山の麓にあります。2400年前に越王勾践が蘭の花を植えたこと、また、漢の時代に馬に休憩所になったことから蘭亭として有名になりました。1600年前、東晋時代の書の大家、王義之がここで「蘭亭集序」を書いたことから書の聖地としてたたえられ現在に至っています。毎年3月に行われる蘭亭祭には書道界の代表が集まって書が披露されます。日本からも有名な書道界の大御所が出席しています。
【東湖】(东湖 Dōng Hú)
紹興の東湖は杭州の西湖、嘉興の南湖と並んで浙江省の三大名湖です。東湖は紹興市内から6キロメートルの東にあり、1000年前は、漢代に開始された採石場でした。ここで採られた石は石橋の建造に多く使われています。石の品質は下にいけばいくほど良いということから隋唐代には、深く掘られました。そのため地下水と河の水が合わさり、現在のような湖の姿になりました。今は「烏蓬(うほう)舟」という紹興独特の片足で漕ぐ舟に乗って遊覧観光する事ができます。
会稽山 (会稽山 kuài jī shān)
本当の名前は、茅山といいますが、禹が治水に成功してから、ここで諸侯を会して彼らの功績を計った、即ち、勤務評定をしたと言われています。「会稽」=「会計」という地名はそこから来ました。春秋時代には越王勾践と呉王夫差がここで戦い、「会稽の恥」「臥薪嘗胆」の故事の舞台でもあります。
【八字橋】(八字桥 Bā Zì Qiáo)
八字橋は宋の時代(1256)に建てられた街中の橋で、全て石を組み合わせて造られています。一つの橋で三つの道をまたいでいるのが特徴です。「中国で現存する最古の立体橋」と言われ、全国重点保護文化財に指定されています。紹興にはこのような石で造られた大小さまざまな石橋が1万以上もあると言われています。水郷以外ではなかなか見ることの出来ない身近な文化財です。
【古繊道】(古纤道 gǔ qiàn dào)
古繊道は紹興市内から杭州へ向う道路に添って続く運河の上に作られた細長い石橋状の道で、全国の重点文化財に指定されています。歴史書によると、最も古いものは140年頃に作られたものではないかと言われていますが、長い年月の間何回も作り替えられています。古繊道は役人を運ぶ船の速度を上げるために運河の中に作られたもので、この石橋道を、船を引っ張りながら歩いたと言われています。この古繊道は採石場の石を使っており、約3m間隔で橋げたが設けられ、その幅は約1.5m。最初に作られた時は約70kmにも及ぶ長いものでした。今は1kmほどS字型のものが残っており、紹興の水郷写真スポットとしても有名です。最近は長い運河に沿って公園も整備され、昔の石橋等も展示されています。
【安昌古鎮】(安昌古镇 Ān Chāng Gǔ Zhèn)
安昌古鎮は紹興県の中の村であり、浙江省の代表的な水郷の一つです。昔から経済が発達し、物も豊富で市場も繁栄しており、裕福でお金もある街でした。市内では少なくなった400年前(明代)の古い民家が今もあり、全ての道路には石が敷き詰められていて、歴史のなごりを強く感じさせてくれます。河に添って並んだ家の前には、素朴な昔懐かしい数多くの遊び道具や食べ物が露店と同じように並べられ、観光客の眼を和ませてくれます。運搬船や烏蓬船が今もなお市民の運搬、交通手段として行き交い、水郷地ならではの光景を生み出しています。
~紹興酒~
(绍兴酒 Shào Xīng Jiǔ)
紹興酒は黄酒とも呼ばれ、2400年前から造られています。日本では一口に紹興酒と言っていますが、実際にいろいろな製品があります。紹興酒は原料の種類、添加剤、手法によって①加飯酒、②状元酒、③善醸酒、④香雪酒の4種類に分けることが出来ます。紹興酒の仕込みは年に1回、10月から翌年の2月になって造られます。一般的には冬に発酵させ、3年以上保存します。中国語では、「永く寝かせた(年老いた)お酒」のことを老酒(らおちゅー)と言うので、紹興酒は老酒の一種でもあります。もともと紹興酒は女の子が生まれた時に製造し、その子供が成人になったときに取り出して飲むものだったので、その事から「女児紅」とも呼ばれていました。紹興酒は、アルコール分が低く、栄養価が高くて、健康に良いお酒です。
~名物~(特产 tè chǎn)
「干菜燜肉」(梅干菜扣肉 méi gān cài kòu ròu)
菜っ葉の漬けものを干したものと肉厚な豚バラ肉を一緒に蒸す。漬けものの複雑なうまみがしみた肉の脂身が口の中でとろけます。国内外の要人との食事の席にたびたび登場したと言われる一品です。
「茴香豆」(茴香豆 huí xiāng dòu)
小説「孔乙己」に出てくる「茴香豆」です。ウイキョウで味付けしたゆで空豆で、独特の甘くてしょっぱい風味に手が止まらないです。
「臭豆腐」(臭豆腐 chòu dòu fǔ)
紹興名物です。発酵させた豆腐を油で揚げます。臭豆腐と茴香豆をつまみに紹興酒で一杯が紹興の「定番」です。
「咸煮花生」(咸煮花生 xián zhǔ huā shēng)
紹興の家庭料理。紹興酒のおつまみとして最高の一品です。
「奶油小攀」(奶油小攀 nǎi yóu xiǎo pān)
100年以上の歴史がある紹興の伝統的なデザートです。
以上、紹興のご紹介でしたがいかがでしょう?
日本人には紹興酒や魯迅の名前が馴染み深い都市だと思います。上海から高速鉄道で1時間半ほどで着くことができるので、ぜひ訪れてみてください。魯迅にまつわる観光名所が数多くあり、湖や歴史的建造物など、各所に景勝地もたくさんあり、歴史が垣間見れます。