“池袋中国語コラム”とは・・・ |
中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国赴任や出張などビジネス向けの方にお勧めの情報・ノウハウを提供しています。
【北方最大の対外開放港:天津】
中国の天津ってどんな都市かご存知ですか?日本人からすると、天津と言えば、天津飯を思い浮かべる人も多いのではないのでしょうか。しかし天津に天津飯はありません。
では天津とは、どういった都市でしょうか?現地の方によると、天津は日本で言う横浜や兵庫に近い街だそうです。異国情緒あふれる港町で国の首都に近い大都市というところが似ているとのことです。また「天津出身の人」と言えば、地元が好きで、大学や就職も他の町へは行かず、天津に残るイメージがあるそうです。そんな魅力あふれる天津についてご紹介していきます。
異国情緒あふれる都市、天津
天津概要
天津は中国四大直轄市の一つです。沿岸沿いという土地柄、歴史的に北京の玄関口として重要な役割を担ってきました。もともと海河の河港でしたが、現在では、河口付近に大規模な港湾やコンテナターミナル、工業地帯も形成されています。1986年、天津は国務院から国家歴史文化名城(文化遺産保護制度の一つ)に指定され、1998年には国家観光局から優秀観光都市のひとつに選ばれました。
街並み
天津は近代的なビルが多く立ち並ぶ街ですが、歴史的な寺院や街並みも多く残されています。
また19世紀後半から20世紀前半まで英、仏、独、米、日など9つもの国から侵略されたため、多くの国の文化が混ざり合い、さまざまな建築様式が見られます。こうした天津の街並みは、「建築物世界博覧会」とも呼ばれています。
地理
天津市は,北緯38度34分~40度15分、東経116度43分~118度4分、華北平原の東北部、海河下流域に位置し、東は渤海湾、北は燕山、西は首都北京に接しています。北京から120キロしか離れておらず、北京首都国際空港から車で行けば2時間30分しかかかりません。空港から直接バスも出ているので、バスを使っていくこともできます。
気候
年平均気温:13.3℃ 月平均気温:マイナス4℃(1月)~26℃(7月)
天津は大陸性気候で、四季がはっきりしていて雨や雪が少なく、一年を通じて、とても乾燥しています。春秋は短く、夏は暑く局地的大雨が降ることもありますが、日本とは違い、空気は乾燥しています。冬は寒さが厳しいです。また雨や雪が少なく、一年を通じて、とても乾燥しています。
春には西方から黄砂が吹きすさび、砂嵐で空気がよどむ日もあるので、天津の観光は秋がおすすめです。事前準備として、夏は日焼け止め対策、冬は防寒対策、また一年を通して乾燥しているので、のど飴やハンドクリーム、リップクリームなど、乾燥対策が必要です。
~観光~
古文化街(Gǔ wénhuà jiē)
明清時代風の建物がずらりと並んで、伝統芸術品や面白グッズなども売られていて、東京の浅草をイメージするようなところです。全長は580メートル、両端に巨大なアンティークアーチがあり、通りの両側に100を超えるお店があり、主に文化財、アンティークの本、民芸品、伝統的な手工芸品を扱っています。観光地の主な見どころは、天后宮、玉皇閣、通清里、劇場、民俗文化センターです。
五大道 (Wǔ dàdào)
五大道は公式の名前ではなく、幅広く伝わった通称名です。
五大道は和平区に位置して、地域範囲は馬場通り北側、成都通り南側、西康路の東方向に、馬場道和南京道交口の西側の一帯です。五大道は全部で22本の道路があり、総延長は17㎞で、総面積は1.28㎢にもなります。
租界時代のイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなどの洋館「小洋楼」が今でも残るエリアです。この1820年から30年に建てられた2000棟以上の洋館は、敷地面積が60万㎡以上で、床面積は100万㎡以上にも達しています。これらは300を超えるスタイルの建築様式で建てられているため、「万国建築の博物館」とも称されています。さらに、これらは重要保護の対象にもなっていますが、地元住民の住居や店舗、オフィスなどにも利用されています。
天津市政府による積極的な保護政策により、単なる観光地としての機能だけでなく、天津人の生活の中にも溶け込んでいるので、現地の生活の様子を見ることもできます。こうした五大道エリアでは、ヨーロッパ風の馬車に乗って見物するのが名物となっています。また五大道の真ん中に位置する民園では、夕方からナイトマーケットが始まります。そこでバーやレストラン等に行くのもおすすめです。
意大利风情旅游区 (Yìdàlì fēngqíng lǚyóu qū)
イタリアタウン
旧イタリア租界だった場所に、1902年に建設され、2002年末に修復もされています。
イタリア風の街並みが再現されており、マルコ・ポーロ広場を中心に、領事館、兵舎、学校、病院、教会、スタジアム、野菜市場、消防隊、庭園、広場等、西洋の古典的な建物が、200棟あまり集まっています。
イタリアレストランやドイツビールのレストラン、カフェや土産物屋なども並んでいます。現在、アジアで唯一保存状態の良いイタリア風建築物です。
「天津之眼」摩天轮 (Tiānjīn zhī yǎn」mótiān lún)
「天津アイ」観覧車
天津市河北区の永楽橋の上に建てられた、河にまたがる観覧車で、天津で最も有名なランドマークの1つでもあります。最高地点に達すると周囲の景色を隅々まで一望できることから、「天津之眼」(天津の目)と名付けられました。直径は110メートル、ゴンドラは48台あり、8名ずつ乗車が可能で、ゴンドラの中は6畳ほどの広さとなっており冷暖房完備です。ゴンドラは360度透明で、最高点が120メートル、周辺40キロ圏内の景色が一望できます。1周約30分です。
特に夜の夜景はとても美しく、周囲の開放的な景色をゆっくりと快適に楽しむことができます。また駅前の海河乗り場から海河観光船に乗って、天津アイまで周遊するのもおすすめの定番コースです。
和平路歩行街(Hé píng lù bùxíng jiē)
中国の天津市の中心街で、伊勢丹をはじめ、国際商場などのデパートやホテルが建ち並ぶメインストリートです。地元の人や観光客など、ショッピングや食事に訪れる人が多いです。スターバックス等のカフェもあります。南西方面には水上公園や周恩来鄧頴超記念館があり、北方面には旧城や南市場食品街などがあるので、他の観光ついでに立ち寄ってみるのもいいですね。
天津市文化中心(Tiānjīn shì wénhuà zhōngxīn)
天津文化センター
天津文化センターは、2012年8月完成した天津市の公共文化施設です。総敷地面積は、90ヘクタールあり、天津市において最大規模の公共文化施設です。天津博物館、美術館、図書館、大劇院、自然博物館、陽光楽園、中華劇院、科技館、地下鉄総交通センターなどがあります。日本でいうと上野公園みたいなところです。
水上乐园(Shuǐshàng gōngyuán)
水上公園
1950年創設、総面積213ヘクタール、天津最大の総合公園です。そのうちの半分が湖で、湖にはいくつか小島が浮かんでいます。周囲は木々が生い茂り、湖面上には蓮が浮かんでいます。水上バスや遊覧船等で景色を楽しむこともできます。天津市と姉妹都市である神戸市が造った日本式庭園「神戸園」は、見どころのひとつです。春には桜の花が満開になるので、お花見にもおすすめです。
南开大学(Nánkāi dàxué)
南開大学
1904年創立、初代国務院総理の周恩来、前国務院総理の温家宝の母校として有名な大学です。国内で最も長い歴史を誇る大学の1つです。また国内トップクラスの教育・研究レベルを有する「211プロジェクト」指定の重点大学で、北京大、復旦大とも肩を並べるような名門大学です。
~料理~
八珍豆腐(Bā zhēn dòufu)
「八珍豆腐」は天津の家庭料理でもお馴染みの天津料理です。日本の豆腐とは違い、揚げ出し豆腐みたいに表面はカリッとした食感です。八珍豆腐と海鮮や野菜等を甘辛く味付けし、トロみを付け、炒めて食べることが多いです。ぜひ本場の味を試してみてください。
張記包子 (Zhāng jì bāozi)
「狗不理」は有名な肉まんですが、天津の方からすると少し値段が高すぎるとのことです。それに比べ、「張記包子」の肉まんは天津の方に身近で、値段も手ごろながら、美味しいそうです。「張記包子」は地元の方が本当におすすめする一押しの肉まんです。
天津麻花(Tiānjīn máhuā)
天津でお土産の定番と言えば天津麻花です。小麦粉生地を揚げて作った中国の伝統菓子で、日本のかりんとうにも似ています。とくに「桂發祥十八街麻花」という100年以上の歴史があるブランドが有名で、天津には数多くの販売店があります。単に「十八街麻花」と呼ばれることもあります。十八街の麻花は、くるみ、塩胡椒、芝麻などの味があります。箱入りのものもありますが、基本は量り売りなので、欲しい量だけ変えるのは有難いですね。
麻辣香锅(Málà xiāng guō)
麻辣干鍋(Málà xiāng guō)とも言い、重慶の晋雲山で生まれた珍味で、四川と重慶の地元の香辛料の味が効いた鍋料理です。いま北京や台湾の台南でもブームを巻き起こしている料理で、天津でも女性に人気の料理だそうです。お店によってスタイルは異なりますが、好みの具を選び、好みの辛さを選び、お店の方に妙め煮してもらいます。底にたまった油には香辛料の風味が出ているので、全体を混ぜて食べると美味しいです。
麻辣小龙虾(Málà xiǎo lóngxiā)
中国で人気があるザリガニ料理のひとつで、その中でも、とくに人気がある味付けが、この安徽省の名物料理「麻辣小龙虾」です。麻辣は「しびれるほど辛い」の意味です。13種類もの唐辛子を使うことから別名十三小龍蝦とも呼ばれます。ビニール手袋を付けて殻をむきながら食べます。屋台やレストラン、デリバリーでも食べることができ、お酒を飲みながら食べるのに若者の間で人気です。ザリガニ料理はちょうど5〜9月頃がシーズンなので、今が旬ですね。
涮羊肉(Shuài yángròu)
羊肉のしゃぶしゃぶで、火鍋の煮えたぎった湯で薄切りの羊肉を湯がき、薬味をきかせたタレにつけて食べます。北京料理の代表的な鍋料理ですが、いま天津でも人気があります。
烧烤烤串(Shāokǎo kǎo chuàn)
ケバブの串刺しです。中国のケバブは日本のケバブと少し違い、辛いです。ベースはコショウ等の辛みで、そこにさらに唐辛子やチリソースをかけて食べます。辛いのが好きな方に特におすすめです。
蒸汽海鲜(Zhēngqì hǎixiān)
日本名では「海鮮蒸し鍋」ということが多く、海鮮を鍋に入れて蒸し上げて食べる料理です。この蒸し鍋ですが、鉄板を外すと底が深くなっています。大きな蓋をして鉄板の上で海鮮を蒸しながら、下部では同時にお粥を作れるようになっているのです。海鮮だけでなく、海鮮の旨味の詰まった出汁のお粥も人気の秘密です。
天津が分かる!映画やドラマ
「霍元甲」(Huò yuán jiǎ)
「霍元甲」(Huò yuán jiǎ)
2006年製作/103分/香港・アメリカ合作
邦題:SPIRIT
配給:ワーナー・ブラザース映画(SPIRIT)
19世紀末から20世紀の天津を舞台に、実在した武闘家、霍元甲のカンフー・アクション映画です。
霍元甲は天津出身です。霍元甲を演じたジェット・リーは、中国人なら誰でも知ってるほど有名なアクション俳優です。
高慢さが災いし、全てを失った霍元甲が、自分の過ちに気づき、立ち直っていく姿に勇気づけられます。
臨場感のあるアクションだけでなく、ヒューマンドラマとしても素晴らしい映画です。
「楊光的快楽生活」(Yángguāng de kuàilè shēnghuó)
2008年製作/45分(1話)
制作:中国長城芸術文化中心
シナリオ、撮影、出演が全て天津出身で、天津方言が良く分かるコメディドラマです。改革開放後の市場経済の競争が激しかった時代に、国営企業からリストラされたある青年の奮闘を描いています。庶民の暮らしに焦点を当てられており、喜怒哀楽のある日常生活から天津ならではの地元っぽさが感じられます。
まとめ
天津は近代的な街並みを楽しめるような天津アイだけでなく、異国情緒あふれるイタリアタウンや、古き良き中国を味わえる古文化街まで、揃っています。今回ご紹介させていただいた場所は、全て天津の方一押しの場所でしたが、それ以外にも素敵な場所はまだまだたくさんあります。北京のついでに立ち寄ることもできる天津、ぜひこの機会に足を運んでみてはいかがでしょうか?