池袋中国語コラム 中国新一線都市紹介~鄭州~

 

“池袋中国語コラム”とは・・・

中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国赴任や出張などビジネス向けの方にお勧めの情報・ノウハウを提供しています。

【中華民族の故郷:鄭州】

 

郑州(zhèng zhōu)概要

 

鄭州は中国の華中地区にあり、河南省の省都です。黄河の北にあるのが河北省、南にあるため河南省と呼ばれます。北京の南方,上海の北側で緯度は日本の東京に近いです。昔の商王朝の都があったことから“商都”と呼ばれたり、かつて黄砂が酷かったので1990年代に植物をたくさん植え,今では緑豊かになったことから“緑城”などの別称で呼ばれたりします。2019年時点で人口1035.2万人,総面積167,000㎢,中原地区の中核都市です。

国家歴史文化名城

鄭州が中核都市となった理由として夏王朝の発祥の地であることが挙げられます。中国8大古都(北京、南京、杭州、西安、洛陽、開封、安陽、鄭州)の一つに数えられます。歴史上、夏、商、管、鄭、韓の国が都を置きました。

古くは8000年前の裴李崗文化遺跡、6000年の大河村文化遺跡が見つかり、著名な古代文化遺跡として知られています。また5000年前,中華人の始祖とされる黄帝:軒轅氏がここに生まれ都を置きました。3600年前には中国第二の奴隷制王朝である商王朝が鄭州に都を建て、今に至るまで中心城区で7㎞の商代城壁遺跡を見ることができます。

鄭州市の中に商城遺跡、裴李崗文化遺跡、北宋皇陵、軒轅黄帝故里(xuān yuan huáng dì gù li)、杜甫故里、潘安故里などの歴史名勝や文化古跡が多くあります。各級の重点保護文物が451か所もあり、移動可能な文物が15万件と、全国でも有数の歴史文物が密集する都市で鄭州は国家歴史文化名城と言えます。

鄭州が中核都市となった理由に交通の要衝であることも関係しています。全国の重要な鉄道、航空、高速道路、電力、郵便の主要枢軸都市で,普通鉄道と高速鉄道ネットワークで唯一“二つの十字(双十字中心)”になっています。いわゆる“二つの十字(双十字)”とは鄭州を南北に走る京広线(北京から広州)と東西に走る隴海線(蘭州から連雲港)の交差点を表します。また日本の新幹線に相当する高速鉄道の新京広高鉄(北京から広州の南北の鉄道)と徐蘭高鉄(山東省徐州市から甘粛省蘭州市までの東西の鉄道)の十字点です。歴史上黄河の水害をたびたび受けていたので、経済発展は緩慢でしたが、20世紀始めに上記の隴海線と京広線が建設され、南北大動脈の交差点となったため、経済的地位はようやく上昇し始めました。


多くの外国人旅行客は鄭州の名前を聞いたことがあると言い,鄭州を通過したことがあると言います。それは鄭州が交通の重要な交差点として位置していることも要因しているでしょう。
このように交通が便利なので鄭州にはこういう言葉があります。“朝は広州でお茶を飲み、お昼は武漢で新鮮な魚を食べる、そして夜は鄭州で烩麺を味わい,翌早朝に北京で国旗掲揚を見る”。今ではすでに実現可能になっています。

 

~観光~

 

鄭州は中原の中でも独特の魅力を持っており、中国全土を見ても有名な観光都市と言えます。名勝歴史遺跡も多く、山や河の自然も豊富です。
鄭州がある河南省には3か所の世界遺産:「天地の中央」にある⓵登封の史跡群、及び中国三大石窟の一つ、②龍門石窟、また甲骨文の発祥地の③殷墟博物館があります。
日本でも有名な少林寺(shào lín sì)は鄭州から車で行ける距離です。少林寺は少林カンフーとして世界的にも有名ですし、お寺の周りには五岳の一つ嵩山を中心とした地質公園となっています。中国人の祖先とされる軒轅黄帝故里には現存する最古の天文観星台や最古の道教廟:宇中岳廟、中国四大書院の一つ嵩陽書院など多くの観光地があります。

 

登封 “天地之中”历史古迹(dēng fēng tiān dì zhī zhōng lì shǐ gǔ jì)

 

古来から五岳の中心をなす聖なる山とされた嵩山は、宗教的・文化的に重要な位置を占めてきました。歴代の王朝によって築かれてきた嵩山周辺にある嵩山少林寺をはじめとする8件の歴史的建造物群を対象とし、2010年に世界遺産登録されました。以下、8つの建造物が対象です:太室闕と中岳廟、 少室闕、啓母闕、嵩岳寺塔、少林寺建築群、会善寺、嵩陽書院、周公測景台と観星台。
「天地の中央」という呼び名は、かつての中国思想に基づいており、「中原」の事を指します。史跡群が主に登封に点在していることから、登録名称は「天地の中央」にある登封の史跡群となっています。

 

龙门石窟(lóng mén shí kū)

龍門石窟は河南省の洛陽から南に13kmほどの場所にあります。甘粛省の敦煌莫高窟、山西省の雲岡石窟とともに、中国三大石窟の一つにされます。
北魏の孝文帝が洛陽に遷都した493年頃から掘削が始められ、400年以上をかけて完成しました。伊水のほとりの東西を山に挟まれた断崖絶壁に南北1kmにわたって、大きいもので高さ17mのものから、小さいもので2㎝の像まで、10万体余りの仏像が保存されています。

安阳殷墟 (ān yáng yīn xū)

鄭州から車で2時間ほど北にある安陽市には世界遺産:殷墟があります。殷墟は中国の商王朝後期における都城の跡地で、3300年以上の歴史があります。ここでは殷墟博物館があり、商時代の文物を専門的かつ系統的に展示する中国唯一のものになっています。宮殿の基礎跡や王族の墓、数えきれないほど点在した住居跡、家族墓地跡、その間に点在した手工業作業場および甲骨文、青銅器、玉器、陶器を代表とする豊富な文化遺存からは、独特な殷墟文化と殷・商時代の王都としての規模の大きさを理解することができます。500点余りの文物は、国宝クラスのもので、高い学術的意義を有しています。

 

~祝典~

 

鄭州では毎年様々な祝賀イベントが行われています。中でも最もお勧めなのでが黄帝故里拜祖大典(huáng dì gù lǐ bài zǔ dà diǎn)と郑州国际少林武术节(zhèng zhōu guó jì shào lín wǔ shù jié)です。もし機会があれば一見の価値ありです!

黄帝故里拜祖大典(huáng dì gù lǐ bài zǔ dà diǎn)

毎年旧暦の3月3日,鄭州市の南にある新鄭市では黄帝故里拜祖大典が開催されます。春秋戦国次第の《竹書紀年》と漢代の《史記》などの歴史書には3月3日に新鄭市の茨山(俗称“始祖山”)に登り、黄帝をお参りしたという記載があります。2008年に黄帝拜祖祭典は中国国務院から国家級非物質文化遺産に認定されました。

 

鄭州国際少林武術節(zhèng zhōu guó jì shào lín wǔ shù jié)

鄭州国際少林武術節は武術、観光、文化交流を一体にした大型の総合イベントで1991年から始まりました。鄭州市は毎年9月1から5日の間に国際少林寺武術節を開催し,鄭州市と登封市が武術節の主要な会場です。この期間中、迎賓儀式、文体演目、少林武術試合、文芸演出、旅行観光などの活動が行われます。

 

~鄭州の美食~

観光する時に忘れてはならないのがその土地の美食を楽しむことです。鄭州にも美味しい料理がたくさんありますのでぜひ味わってください。
鄭州は北方地域になるので小麦が主食です。例えば、馒头(具のない肉まん)、菜馍、油卷、包子、烙馍、油饼、菜盒、烧饼、油条、炸菜角、面条などがその種類です。また河南人は麺が大好きで麺の種類も豊富です。例えば、汤面条、捞面条、炸酱面条、卤面条、炒面条、牛羊肉烩面条などが代表的です。もし最もお勧めな麺を一つあげるとすればそれは烩面(huì miàn )でしょう。

 

烩面(huì miàn )

鄭州の烩面(huì miàn )は河南省鄭州市周辺の名物料理です。そして河南小麦料理の代表とも言えます。中国十大麺料理の一つにも挙げられます。羊の骨を5時間以上煮たスープは白く,手延べの幅広麺がもっちりとして美味しいです。お好みで辣椒(唐辛子)や酢などを入れ自分好みの味付けにします。
池袋の西口にある「池袋小吃居」というお店は河南人の方のお店なので本場の烩面を味わうことができます。お近くに寄った際はぜひ味わってみてください。

 

胡辣汤(hú là tāng)

胡辣湯は中国中原地域の伝統的なスープで、河南省の代表的な小吃です。逍遥鎮(Xiaoyao Zhen、周口市西華県の街)の逍遥胡辣湯と、北舞渡(Beiwudu)の2つが有名です。トウガラシと黒胡椒を牛肉の出汁から作ったスープの中に具材を入れます。牛肉、春雨、落花生、木耳、胡椒,ほうれん草,豆腐皮,などが入っています。
河南省では朝食として食べることが多く、葱油饼,油条,包子、馒头などといった面食と一緒に食べると食が進みます!

 

卤面条 (lǔmiàntiáo)

河南省の卤面はまたの名を炉面とも言い、河南の蒸した麺料理です。見た目は日本の焼きそばのようですが、豫菜(河南料理)の一つで中国全土に知れ渡っています。五花肉、ネギ、もやし、インゲン豆、などの具材が入っています。中国の百度によると、すでに2千年の歴史がある料理で世界史上、最も早く生まれたファーストフードとされています。

以上、鄭州について紹介してきました。河南省の人口は日本と同じくらいで中国の一つの省が一つの国だったとしておかしくないスケールです。百聞は一見に如かず、鄭州を通り過ぎるのではなく訪れてその魅力を実際に体験してください!

 

池袋中国語コラム 中国新一線都市紹介~長沙~へつづく

 

 

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