“池袋中国語コラム”とは・・・ |
中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国赴任や出張などビジネス向けの方にお勧めの情報・ノウハウを提供しています。
【啤酒之都:青島】
アジアとヨーロッパの文化が混在する都市、青島(qīng dǎo )
ヨーロッパに旅行に行きたいと思うことはありませんか?異国情緒に触れてみたいと思う方は多いはずです。でも残念ながらいろんな事情で実現が難しかったりします。そんな方に是非足を運んでいただきたいのが青島です。
青島市(qīng dǎo shì)といえば青島ビールでよく知られています。山東省の都市で山東半島の東側に突き出た場所に位置しています。半島なので海沿いの都市なのですが、山もあるので海と山どちらも楽しむことができるという非常に地理的に恵まれています。さらに、ドイツが青島を租借地としていた時期もあってヨーロッパの文化が青島に残されるようになりました。街並みが西洋風に整えられて、街路樹が植えられ、なおかつドイツの技術をもとにビールの製造がおこなわれるようになりました。そのため海の魅力、山の魅力、アジアの魅力、ヨーロッパの魅力を兼ね備えた都市青島が中国でも有数の観光地となったのです。ここではそんな不思議な魅力を持つ都市、青島について紹介します。
まるで気分はヨーロッパ旅行!!ドイツ風の街並みを散歩する
是非青島に来たらまずはドイツ風の街並みを楽しんでみてください。中国語では“红瓦绿树、碧海蓝天”(hóng wǎ lǜ shù ,bì hǎi lán tiān)(赤い屋根に緑の木々、碧い海と紺碧の空)という言葉で青島の魅力が紹介されています。青島でもこの雰囲気を楽しめるのは海沿いの市南区、しかも旧市街と呼ばれる一部の地域だけです。青島にいったら旧市街のメインストリートである中山路を中心にして移動していくとどこへ行くにも観光がしやすくなります。
青島旧市街の起点!!
中山路(zhōng shān lù)
今回の青島紹介記事の起点となるこのストリートですが、旧市街のメインストリートです。青島有数の繁華街でB級グルメから海鮮レストラン、ファーストフード、カフェ、お土産屋、デパートなんでもそろっています。もちろん食べ歩きもOKなのでいろいろなグルメを楽しんでみてください。
海の真ん中から青島を一望!!
桟橋 ( zhàn qiáo )
中山路をまっすぐに海側に向かって進んでいくと長い桟橋があります。1892年、清の時代に建造された海上遊歩道です。橋を最後まで歩くと二階建ての八角亭があります。橋の長さは440メートルなので無理なく歩いていくことができます。この桟橋の魅力は海の上から青島の赤い屋根で統一された街並みを一望することができるところにあります。小高く立ち並ぶ赤い屋根の建物と丘の木々の緑、そして紺碧の空が織りなす風景は一度目にしたら一緒忘れることはないでしょう。可能であれば天気の良い日を選んでいってみてください。
プチ情報:ここではカモメが飛び交っています。カモメのエサが売っていますので飛び交うカモメにエサをあげても楽しいと思います。
桟橋から東に向かって海沿いにずっと歩行者用の道が続いています。この道をまっすぐ行くと大学路や八大関に行けます。この道沿いではいろいろな小物が売られています。海沿いの景色を楽しみながら地元の人々の生活も観察して歩いていくと楽しいと思います。
繁華街の喧騒を離れて静寂に身を寄せてみるのも一興です…
大学路 ( dà xué lù )
桟橋の方から東に向かって歩いていくと、人々でにぎわう中山路とは全く対称的な並木道があります。それがこの大学路です。中国海洋大学に沿って緩やかな坂道が続いています。この大学路は青島市で最も早く作られた近代的な道路と言われています。観光客によく知られた海沿いの遊歩道とは異なり、人が少なく散歩したりゆっくり過ごしたりするには最適です。また、ここにはおしゃれなカフェが沢山並んでいます。是非都会の喧騒から離れて優雅なひと時を過ごしてみてください。
中国海洋大学魚山校区( zhōng guó hǎi yáng dà xué yú shān xiào qū)
大学路沿いにあるこの海洋大学ですが、西洋式の建築が有名です。1924年に創立されたこの大学は外観においては中国国内における評価がとても高く、中国美しい大学トップ10に挙げられています。西洋式建築という観点においては中国国内ナンバーワンと他の追随を許さない圧倒的な評価を受けています。うれしいのが観光客でも普通に学校に入ることができるところです。大学の中の運動場は週末、夕方になると近所の人たちが運動するために集まってきますので地元の人の生活を観察することもできます。緑化にも特化していて、春は桜の花を咲かせます。また構内の丘を登りきれば海を眺めることもできます。当然、無料です。完全に穴場なので大学路に来たらぜひ行ってみてください。
青島の赤い屋根を一望してみよう!
小魚山公園(xiǎo yú shān gōng yuán )
大学路のすぐそばにある公園です。青島市内と海の景色を一望することができます。この公園はそれほど大きくないのですが、ここの売りは中山路や大学路からのアクセスが良いことと丘がさほど高くないので手軽に行くことができるというところです。チケット代もとても安いです。少し高い位置から景色を眺めたいけど時間もお金もそんなにないという場合にはおススメです。桟橋、小青島、魯迅公園、丘にひしめく赤い屋根すべてを展望可能なのでコスパは十分です。
信号山公園(xìn hào shān gōng yuán)
大学路から若干丘の方に向かって上がっていったところにある公園です。上に紹介した小魚山公園より高い位置にあるので展望するには持って来いです。最上部の球形の展望台もやはり周りの建物群に合わせて屋根が赤くなっていて、外から見て一目でわかるようになっています。公園内は階段が多いので体力に自身のない方は小魚山公園をチョイスすると良いでしょう。ただ、その分ここの景色は格別です。特におすすめなのは日没の時間帯です。西の海に沈む太陽が放つ淡い光を青島の空と海が優しく受け止め、それを赤い屋根の建物たちが静かに見守る風景は見る者を静寂にのみこみます。
異国情緒に富む別荘地帯でヨーロッパの雰囲気に浸ってみよう!!
八大関 (bā dà guān)
桟橋から東に向かって海沿いの遊歩道を歩いていくとひときわ異国情緒にあふれた街にたどり着きます。ここはいわゆるドイツの租借地であった時の別荘地です。外国の領事館などもあります。特筆すべきなのは、ここにある200余りの建造物にはロシア、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、日本、デンマーク等の20ほどの国の建築様式が反映されているということです。また、街路樹の種類も豊富で四季折々に咲く様々な花を楽しむことができます。そのため中国国内では“世界建築博物館”とも呼ばれていたりします。今でもほぼ当時そのままの建造物が残っていて、商店なども入っていないので静かに散歩することができます。
プチ情報
「花石楼(huā shí lóu)」:ロシアから亡命してきた貴族がロシア人設計師に建てさせたものです。
「公主楼(gōng zhǔ lóu)」:デンマークの領事館があったところ、別名プリンセス楼。名前の由来はデンマークのプリンセスが訪れたことからきている。
「元帥楼(yuán shuài lóu )」:1940年に日本人が建てたといわれています。今の中国が建国されてから当時の元帥たちが泊まったといわれています。ただ、今でも要人たちが実際に泊まるホテルの一角にあるため見学はできません。
山の魅力も堪能してみよう!!
嶗山 ( láo shān )
市内から40キロほど離れた位置にこの嶗山があります。「海や建造物も良いけど私は山も見たい」という方はぜひ足を運んでみてください。この嶗山( láo shān )は海抜1132メートルで、黄海にも面しているので展望という観点からしても他の場所とは違うレベルにあります。ただ、嶗山( láo shān )の魅力は展望だけではありません。峡谷もとても有名で中でも“北九水景区”(běi jiǔ shuǐ jǐng qū)と呼ばれる場所には毎年国内からも多くの人が観光に訪れます。山も青島の欠かせない魅力の一つですから時間に余裕があればぜひ行ってみてください。
※市内から行く場合はかなり距離がありますので朝早く起きて行っても丸一日かかります。
青島と言えばやはりビールは欠かせない!!
青島啤酒博物館(qīng dǎo pí jiǔ bó wu4 guǎn)
青島へ来たらやはりここへ行ってみたいですよね。ドイツが持ち込んだ技術をもとにして開発された青島ビールの製造過程を見学することができます。工場の中も見学者が楽しめるようにアレンジされていますので普通にいるだけで楽しい空間になっています。そして、見学後には異なる種類の青島ビールの試飲も可能です。
青島ではビールが有名であることは何度もお伝えしましたが、ここの特色は“扎啤”(zhā pí)と呼ばれる種類のビールがあることです。ふつう私たちが口にするビールは高温殺菌するのですが、この扎啤(zhā pí)は微多孔膜と言われる濾過方式を採用してます。天然で添加物がなく栄養も豊富なビールとして知られています。この扎啤(zhā pí)は青島のあらゆる飲食店で売られており、小さな商店でも売っていたりします。地元の人はなんとこのビールをビニール袋に入れてもらって家に持ち帰って飲むという習慣があります。値段も安く、地元の人が行くようなお店では500ml3元くらいで購入できます。せっかくなのでこの独自の文化を味わってみてください。
ビール街(啤酒街pí jiǔ jiē)
夏の青島ではとにかく多種多様なビールを楽しむことができます。黒ビール、赤ビールといったものの他にもなんと緑のビールもあります。配合するフルーツによって異なる色になるそうです。青島ビール博物館からすぐそばの所にありますので、是非いろいろなビールの味わいを楽しんでみてください。
※プチ情報:ビール街のほとんどの店は夏季限定です。
クラフトビールおススメの店
日本でもそれぞれの土地で作られたクラフトビールが注目を集めるようになっていますが、ここ青島でも店主こだわりのビールを売っているお店があります。ドイツビール、ベルギービール、黒ビールなどに加えてフルーツと一緒に調合したライチビール、ドリアンビール等の独創的なビールを楽しむことができます。お店は大きくはないですが、レトロな雰囲気の中でビールを楽しめます。大学路の入り口に位置しています。
酷猫精酿酒吧(kù māo jīng niàng jiǔ bā):青島市市南区大学路10号
豆知識:日本とは異なり中国ではアルコールを自作することが法的に許されています。それだけに自分でビールの製造をしやすい環境となっています。
~料理~
おまたせしました。すっかりグルメが後回しになってしまった感がありますが、それだけ青島は魅力いっぱいということです。青島のグルメで代表的なのはやはり海鮮です。いたるところに焼きイカのお店がありますし、いたるところでエビやカニなども楽しむことができます。そして、なんといってもアサリが有名です。ぜひビールを片手に盛りだくさんの海鮮を楽しんでみてください。
※ビールと海鮮は痛風を引き起こしやすいため注意が必要です。実際青島の地元の方で通風になってしまった方も多くおられます。
※プチ情報:蛤蜊[gé lí]は中国語でアサリのことですが、青島の方言では[gā là]と言います。
墨鱼水饺(mò yú shuǐ jiǎo)
あと、青島でもう一つ紹介したいのが餃子です。「餃子?中国にはどこでもあるでしょう?」と思われるかもしれませんが、ここ青島には特有の餃子があります。まずは黒い皮の餃子(墨鱼水饺mò yú shuǐ jiǎo)、これは餃子の皮を作るときにイカの墨を混ぜているために皮の色が黒くなっています。そして、黄色い皮の餃子もあります(黄花鱼水饺huáng huā yú shuǐ jiǎo)。これは黄花魚(huáng huā yú)と呼ばれる中国で良く食されている魚の身をすり込んで作ったため黄色くなっています。青島はビールだけでなく餃子も色とりどりなんです。どちらとも水餃子です。日本の焼き餃子と違うのは皮自体の味が非常にしっかりとしてることです。ぜひこの餃子を味わってみてください。
おススメの店:船歌青岛一店(chuán gē qīng dǎo yī diàn)(青岛市市南区瞿塘狭qú tang xiá路39号)
~まとめ~
以上、青島の魅力を紹介してみました。いかがだったでしょうか?青島には今回紹介できなかったスポットもまだまだあります。青島は中国国内の中でも独特の魅力を有する都市で、みんなからこよなく愛されています。街並みそのものが見どころなのでもし可能であればいろいろな所を自分の脚で歩いて観光してみてください。きっと唯一無二の素晴らしい思い出になるはずです。