池袋中国語コラム 中国新一線都市紹介~武漢~

 

“池袋中国語コラム”とは・・・

中国語学習者のための”池袋発”中国語学習に役立つコラムです。中国に関することだけでなく様々な話題を中国語を交えて紹介していきます。このカテゴリーでは、中国赴任や出張などビジネス向けの方にお勧めの情報・ノウハウを提供しています。

【百湖の市:武漢】

三国志のハイライトとなる歴史的な場所が数多くあるのが長江中流域に広がる湖北省。その中心都市が武漢(wǔ hàn)です。位置は中国の華中地域に位置しています。いわゆる中国の真ん中です。武漢には多くの湖が存在していて“百湖の市”と呼ばれています。そのせいもあり水域面積がなんと全市面積の約四分の一を占めています。また“国家森林都市”に認定されていて約四分の一が緑に覆われています。大河長江、百の湖、森林におおわれた都市、それが武漢です。

 

長江(cháng jiāng)について 

武漢を語るにあたってまず先に紹介したいのが長江です。すでに多くの人に知られている長江が武漢市内に流れています。全長6300kmあり、この長さはアジアで最長で世界でも第三位です。大河と文明の発達とは切っても切れない関係にあり、世界四大文明(メソポタミア文明ーチグリス・ユーフラテス川、エジプト文明ーナイル川、インダス文明ーガンジス川、中国文明ー長江)はいずれも大河のそばで発展してきました。武漢の発展に関しても長江は重要な役割を果たしています。

 

 

武漢三鎮(wǔ hàn sān zhèn)について知っておこう

武漢市はもともと3つの別の都市合併してできた都市です。観光で行く際にはあまり気にしないかもしれませんが、こうした都市の成り立ちを知っておくと観光するときにより現地の文化を理解する助けになります。

漢口(hàn kǒu):漢江の長江合流点、高速鉄道の駅あり、商業の要衝地

漢陽(hàn yáng):工業の要衝地、高速鉄道の駅あり

武昌(wǔ chāng):政治の要衝地、あの三国志に出てくる孫権が「以武治国而昌」(武をもって国を治め、繁栄させること) の理念を掲げて命名したと言われています。

観光の前に武漢はこの3つの地区から成り立っているということを理解しておきましょう。私たちから見たら同じようでも地元の人からしたらそれぞれが別の地域なのです。

 

せっかくなら大河長江を眺めたい!

 

武漢長江大橋(wǔ hàn cháng jiāng dà qiáo)

武漢市の漢陽区と武昌区とを結んでいます。長江では初めての鉄道と道路の両用の橋で、さらに中国を代表する大河長江に架かっているということで非常に注目度の高い橋となっています。うれしいのが歩いて渡ることもできるということです。橋の真ん中まで行って長江を見下ろすとたくさんの荷物を積んだ船が行き来しています。東の方角を見てみると武漢三鎮を一望できます 。そしてあの毛沢東主席が『水調歌頭ー遊泳』と言う詩の中で「1本の橋を南北に架ければ、天険も大道に変わる」 と述べたと言われています。まさにこの橋の価値を形容した一言です。もし時間に余裕があれば歩いてこの橋を渡ってみることをお勧めします。ちなみに橋の全長は1670mです。

橋から見る景色もとてもおススメですが、夜には橋自体がライトアップされることと、行き交う車のライトが点灯することで武漢でも有数の夜景スポットとなっています。ぜひゆったりと夜の長江大橋を鑑賞してください。

 

歴史好きにはたまらない観光スポット

そもそも中国は歴史が長いので多くの都市に歴史スポットが存在します。特にここ武漢では三国志にかかわる歴史にたくさん触れることができるのも魅力の一つです。

 

黄鶴楼(huáng hè lóu)

呉の孫権が西暦223年にここに物見櫓(ものみやぐら)を置いたのが始まりと言われています。孫権もここから自分の軍隊が出入りする様子を見ていたのでしょう。ここから景色を眺めて孫権になり切って浸ってみるのもよいかと思います。今の建物は1985年に再建されたものらしいですが、とにかく眺めが壮観です。武漢市街の眺めを一望することができますし、長江も一望できます。武漢の発展がいかに長江と密接にかかわっているかをよく知ることができますし、中国の歴史を支えてきた古から存在する長江と急速に近代化を遂げる武漢市内を同時に眺めることができる貴重な場所です。

 

三国赤壁古戦場(sān guó chì bì gǔ zhàn chǎng)

さて、三国志ファンにたまらないのが映画レッドクリフの舞台ともなった三国赤壁古戦場です。特に三国志に興味のない方でも“赤壁の戦い”という名前を聞かれたことがあるかもしれません。魏の曹操が天下統一を目指すべく100万以上もの軍隊を従えて南下し、それに対抗すべく呉の孫権と蜀の劉備が手を組んで曹操の軍隊を見事に打ち破るという出来事があった場所です。その時以来魏、呉、蜀の力が均衡するようになり三国時代が始まったと言われています。

この戦場は後に整備され、長江の岸壁には赤く“赤壁”と記されており、歴史が大きく動いた場所の圧倒的な存在感を私たちに見せつけています。

この場所は武漢の南西約100kmほどのところにあります。武漢から車をチャーターすればそのまま行くことができます。所要時間は3時間弱かかりますので十分に時間を取って観光すると良いでしょう。

 

古隆中(gǔ lóng zhōng)

またもや三国志に関係する場所ですが、皆さんは“三顧の礼”をご存じでしょうか?劉備が隠遁生活をしていた諸葛亮を招くために三度尋ねたという話があるのですが、その諸葛亮が住んでいたという草庵がこの場所にあります。ちなみにここは武漢から車で4時間半ほど離れた襄陽市にあります。かなり距離がありますが、樹木や壁などが当時を再現して作られていますので諸葛亮と劉備のやり取りに思いをはせることができます。三国志が好きな方はぜひ訪ねてみてください。

 

中国でも花見ができる!?

 

武漢大学(wǔ hàn dà xué)

「えっ、大学?」と思われるかもしれませんが、この武漢大学も観光スポットで、大学なのに春には連日一万人以上の観光客が押し寄せるといわれています。その理由が、ここでは1000本以上の桜の木が植えられているからです。200メートルにも及ぶ桜並木はまさに圧巻です。「桜なら日本でも十分に見れるよ」と思われるかもしれませんが、ここでは中国の人がどのように花見をするかを観察するのも一興です。当然ですが、日本の花見の仕方と中国のそれでは大いに違いがありますのでそれぞれの文化の違いを楽しむという意味でもおススメです。

豆知識:この桜の由来については田中角栄元首相が周恩来元首相の奥様に送りものとして送った物が後に武漢大学に寄贈されたと言われています。

 

武漢に行くならいつがいい?

あまりイメージにないかもしれませんが、実は武漢は重慶、南京と共に三大ボイラーの一つ(つまり中国でも特に暑い場所、日本で言う熊谷市や館林市)とも呼ばれています。夏場は40度近くに達するので非常に暑いです。暑いのが苦手という方は夏場は避けた方が良いでしょう。

 

~料理~

 

観光に欠かせないのはなんといってもおいしい食べ物ですが、ここ武漢でもたくさんの名物、B級グルメがありますのでここで紹介します。

 

熱乾麺(热干面:rè gān miàn )

中国の人が武漢の食べ物と聞いてまず思い浮かぶのがこの熱乾麺です。中国五大麺“四川省の担々麺 (dàn dàn miàn)・山西省の刀削麺(dāo xiāo miàn) ・北京などの北で食される炸醤面(zhà jiàng miàn) ・広東省、広西省の伊府面(yī fǔ miàn)”とともに名を挙げられている麺です。中国の人も武漢に行ったら必ず食べてみるとも言われるくらい武漢の代表的な食べ物です。

この熱乾麺は小麦で作った麺に、ゴマで作ったソース、ザーサイ、ネギ、コショウを混ぜたものです。実はこの熱乾麺は武漢では朝食として食されているんです。それだけこの熱乾麺は武漢では日常的に食されているということですが、“郷に入っては郷に従え”という言葉もありますので、もしよければ朝ごはんに熱乾麺を食べてみてください。価格も10元程度、地元の人がしょっちゅう行くようなお店であれば10元もしないで食べることができます。安くておいしいこの熱乾麺は長年武漢の人を支えてきました。ぜひ味わってみてください。

 

 

黑鸭脖(hēi yā bó )

これはあまり日本人には知られていない食べ物なのですが、“鸭”つまりアヒルのことですが、そのアヒルの“脖”つまり首を調味料に漬け込んで味をしみこませたもののことです。多くの場合一口サイズにカットしてあって調味料に漬け込んだため黒っぽくなっています。この黑鸭脖は中国各地にあるのですが、中でも武漢の黑鸭脖は“絶品”と言われています。武漢の黑鸭脖は辛いです。辛いものが平気、もしくは大好きという方には特にお勧めです。そして、この黑鸭脖はお酒のつまみ“下酒菜(xià jiǔ cài )”としても最適です。もしよかったらビールを片手に食べてみてください。

 

三鲜豆皮(sān xiān dòu pí)

中国では“三鮮○○”という食べ物の名前をよく目にします。肉類、海鮮類、野菜類といった異なる三つの種類を含んだものを“三鮮”と呼びます。どの三種を含めるかは作る側が工夫することができるので同じ“三鮮”でもお店によって味が大いに異なります。“豆皮”とは大まかにいえば湯葉のようなものです。こちらも中国各地で食されています。代表的なものは肉、卵、エビを材料としたものです。値段もとてもリーズナブルで多くは10元もしないで食べることができます。

 

グルメスポット

 

户部巷 (hù bù xiàng)

上に武漢の代表的なB級グルメを紹介しましたが、「どこに行って探したらいいの?」と思われるかもしれません。どうぞご安心ください。武漢にもB級グルメが集まるスポットがあります。ここではありとあらゆる屋台のお店が並んでいます。「朝食は户部巷 夕食は吉慶街」という言葉があり、ここでは朝食で食べるようなもの、つまり“小吃(xiǎo chī )” を楽しむことができます。上に紹介したもののほとんどはここで食べることができます。こうしたいわゆる中国の小吃のお店が立ち並ぶ場所というのは中国の観光都市には大体あるのですが、この武漢の户部巷は規模の面ではかなり大きい方に入ります。

 

観光の際のコツ

 

もし時間に余裕があれば、食べる前にぐるっと一回りしてみてください。同じ熱乾麺でもお店によって値段や味が異なります。入ってすぐに目に入ったところで食べてしまうのではなく先に全体を見回してみましょう。そのうえで気になったお店に行ってみると本場の武漢の味にたどり着くことができるでしょう。

 

吉慶街 (吉庆街:jí qìng jiē)

先ほど紹介したように「夕食は吉慶街」という言葉があります。この吉慶街でも武漢のB級グルメを沢山楽しむことができます。户部巷との違いは、吉慶街は午前は静かで夜とてもよくにぎわいます。またイベントステージもあるので見る楽しみも味わえます。夜に時間があるような場合にはぜひ立ち寄ってみてください。

 

シュウマイを食べるなら

漢口(hàn kǒu)の花楼街(huā lóu jiē)と交通路(jiāo tōng lù)が交わるところに“顺香居”(shùn xiāng jū)という五十年以上続いているお店があります。ここのシュウマイがとってもおススメです。ここのシュウマイは脂っこくないことで知られています。もしお時間があれば立ち寄ってみてください。

豆知識:残念なことに中国では長年一つの味を守る店がますます少なくなってきていて多くの中国の方が危惧しています。その中で50年の歴史がある店というのは非常に希少価値があります。

 

まとめ

 

私たちも知っての通りコロナウイルスのこともあり武漢の人はとても大変な思いをしました。もともとエネルギッシュな都市でしたが、今現地の人はそのショックを乗り越えようと精力的に努力しています。この記事を通して少しでも武漢の魅力を知っていただけたら嬉しいです。そして、今後自由に旅行できるようになった時にはぜひ、この“百湖の市”を訪れてみてください。きっと元気をもらえると思います。

 

池袋中国語コラム 中国新一線都市紹介~西安~

 

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