法人のお客様からのご相談には、はっきりした季節の波があります。秋に検討が始まり、年度が替わる4月か5月に開講する。このパターンがいちばん多いのです。
逆に言えば、いま社内で「中国語研修をやったほうがいいのではないか」という話が出ているなら、動き出すのにちょうどよい時期だということです。年度の予算に載せるには、これから数か月が勝負になります。
この記事では、来年度の予算に中国語研修を入れるために、秋のうちに決めておきたいことを整理します。金額の見積もり方、助成金の扱い、そして概算のお見積りを取るために必要な情報まで。稟議を通す側の視点で書きました。

1|秋に動き出すと、4月開講に間に合う
4月に開講したい場合、いつ何をしておくべきか。助成金を使うかどうかで変わりますが、目安は次のとおりです。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 9〜11月 | 対象者と人数のあたりをつけ、概算見積もりを取る。予算案に金額を載せる |
| 12〜1月 | 予算が通ったら、研修会社と内容を詰める。対象者のレベルチェック |
| 2月 | カリキュラムを確定。助成金を使うなら計画届の作成に入る |
| 3月 | 職業訓練実施計画届を労働局へ提出(訓練開始日の1か月前まで) |
| 4月 | 開講 |
助成金を使う場合、職業訓練実施計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までに提出する必要があります。4月開講なら3月中です。カリキュラムを固めてから書類を作ることになるので、2月には研修会社とのやり取りが始まっていないと間に合いません。
そこから逆算すると、予算に載せる金額を固めるのは年内。概算のお見積りを取るのは、秋のうちということになります。
助成金を使わない場合はもう少し余裕がありますが、それでも対象者のレベルを確認してカリキュラムを組む時間は要ります。年明けに動き出して4月開講、というのは、実際にはかなり慌ただしくなります。
2|1人あたり、いくらで見ておくか
予算案に載せる金額の目安です。まず物差しとして、社員研修全体の平均を置いておくと考えやすくなります。産労総合研究所の調査によると、2024年度の従業員1人あたりの教育研修費用は36,036円でした。
中国語研修だけでこの金額を使い切ってしまうと、他の研修が組めなくなります。1人あたり1〜2万円に収まるかどうかが、一つの判断材料になると思います。
私たちの公開単価をもとにした試算では、次のようになります。
| 形態 | 条件 | 総額(税込) | 1人あたり |
|---|---|---|---|
| 講師派遣 グループ |
10名・週1回90分・2か月(8回) | 118,800円 | 11,880円 |
| 講師派遣 グループ |
20名・週1回90分・半年(24回) | 365,200円 | 18,260円 |
いずれも法人登録料22,000円を含みます。教材費(入門テキストで1冊2,420円〜)と講師の交通費は別途です。詳しい内訳と、マンツーマンの場合の試算は3つのモデルケースと比較の5つの軸にまとめました。
もうひとつ、予算に入れなくてよいものがあります。研修の受講期間中は、中国語eラーニング「スマチュ」を受講者全員に無料でお付けしています。通常は1アカウント月額3,000円ですが、法人研修の受講者は追加費用なしです。10名の研修なら月30,000円、半年で18万円ぶんにあたります。通勤中や昼休みにスマートフォンで開けるので、レッスンとレッスンのあいだを埋める役割をします。あわせて団体管理アカウントをお使いいただくと、管理者の方が受講者ごとの利用状況を確認できます。
3|助成金は、予算を減らすものではない
ここは予算を組むときに必ず押さえていただきたい点です。
中国語研修は、業務との関連が説明できれば人材開発支援助成金の対象になり得ます。中小企業の経費助成率は45%から、事業展開に伴うリスキリングであれば75%。金額としては大きいので、予算の検討材料になります。
ただし、助成金は精算払いです。研修が終わり、支給申請をして、審査を経てから入金されます。支給申請は訓練終了日の翌日から2か月以内に行い、そこから審査を経て入金されます。つまり研修費用は、いったん全額を自社で支払うことになります。
ですので、予算は助成金を引く前の金額で組んでください。助成率を見込んで少なく計上すると、支払いの段階で足りなくなります。助成金は「予算を減らすもの」ではなく、「翌年度以降に戻ってくるもの」として扱うのが安全です。
もう一点、要件は年度の途中でも改正されます。来年度に受給できるかどうかは、そのときの制度で判断されます。予算の稟議に「助成金の活用を前提とする」と書いてしまうと、要件が変わったときに困ることになります。対象になる研修と、ならない研修に制度の詳細を整理しましたので、社内での説明にお使いください。

4|どこまでを1年で組むか
次に、期間の設計です。
中国語で日常会話ができるようになるまでの学習時間は、150時間程度が目安です。週1回1時間なら、単純計算で約3年かかります。単年度の予算で日常会話レベルまで到達させるのは、現実的ではありません。
ですので、1年でどこまで行くかを決めておく必要があります。初年度は発音の土台と決まった場面のやり取りまで、2年目から業務で使う場面に入る、という組み方が自然です。半年から1年で到達できる範囲については、企画から成果の確認までに決める8つのことに書きました。
とはいえ、複数年の予算を一度に通すのは難しい会社が多いと思います。私たちは月謝制なので、年度ごとに区切って組み直すこともできます。初年度の結果を見てから2年目を判断する、という進め方で問題ありません。
5|途中で止まることを、織り込んでおく
予算を組むときに、もうひとつ前提にしておきたいことがあります。
語学学習は、始めた人の全員が目標まで到達するものではありません。業界として公表された数字はありませんが、私たちの経験では2割から3割の方が途中で止まります。これは中国語に限った話でも、特定のスクールの話でもないと思います。ダイエットでも他の習い事でも、100人が100人続くということはありません。
社会人の場合はとくにそうです。私たちの在学生の7割ほどが社会人ですが、忙しい方ほど目の前の業務が優先になり、中国語が後回しになっていきます。
加えて、中国語には期待とのギャップがあります。英語と同じ感覚で始めてみたら、思ったより大変だった。これは無理もない話で、英語は義務教育で数百時間の蓄積がありますが、中国語はほとんどの方にとって初めて学ぶ言語です。ゼロから積み上げる必要があるという点で、そもそも別物なのです。
予算の観点からは、二つのことが言えます。
ひとつは、離脱を前提に人数を見ること。10名に受けさせたいなら、12名程度で声をかけておく。最初から満席を維持できる前提で組むと、途中で計画が崩れます。
もうひとつは、途中で止められる契約形態を選ぶことです。一括前払いで年間分を契約すると、離脱した方のぶんがそのまま無駄になります。月謝制であれば、止めた時点で費用も止まります。予算を使い切らずに済むという意味では、こちらのほうがリスクは小さいはずです。
離脱そのものを減らす方法もあります。始める前の目的の共有と、職場の理解。この2つが揃っているかどうかで、続く割合はかなり変わります。よくある6つの失敗と防ぎ方にまとめてありますので、予算を通したあとにご覧ください。
6|概算見積もりに必要な6つのこと
予算案に金額を載せるには、根拠になる紙が要ります。私たちは対象者が確定していない段階でも概算のお見積りをお出ししていますが、そのために次の6点をうかがっています。
- 受講の場所は、教室に通っていただくか、事業所へ講師を派遣するか
- 教室に通う場合、対面かオンラインか
- 受講人数は何名か
- マンツーマンか、グループか
- 現在の中国語レベル(全員が初学者か、経験者が混ざるか)
- 目標(何ができるようになってほしいか)
この6つが分かれば、おおよそのご提案ができます。人数は「10名前後」、レベルは「たぶん全員初めて」といった精度で構いません。確定した情報でなくても、予算に載せる金額の目安は出せます。
レベルが分からない場合は、レベルチェックだけを先に受けていただくこともできます。16段階の学習レベル表をお渡しして、対象者にご自身で選んでいただく形でも大丈夫です。
おわりに
秋のうちに概算を取っておけば、年内に予算案へ載せられます。そこから年明けに内容を詰めて、4月開講。これがいちばん無理のない流れです。
まだ社内で決まっていない、上司に相談する前の段階でも、お見積りだけお出しできます。「こういう条件だといくらくらいか」を知ってから社内で議論したほうが、話が早いこともあると思います。この記事が、来年度の予算を組むときの材料になれば幸いです。
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受講の場所、対面かオンラインか、人数、マンツーマンかグループか、現在のレベル、目標。この6点をお聞かせいただければ、おおよその金額をご提案します。確定した情報でなくて構いません。