中国語研修は誰に受けさせるべきか|人選の基準と、適正な人数

中国語研修のご相談をいただくとき、費用や期間より先に聞かれることがあります。「誰に受けさせるのがいいでしょうか」。

社内で希望者を募るのか、必要な部署から指名するのか。何名くらいが適当なのか。レベルがばらついていたらどう分けるのか。研修の中身を決める前の話なのに、ここでつまずいて動き出せない、というご相談は少なくありません。

私たち自身も、社内の外国人スタッフ向けに日本語研修を実施していて、誰に受けてもらうかを決める側に立っています。その立場と、これまでお手伝いしてきた企業研修の経験から、人選について考えていることを書きます。

名簿を見ながら研修の対象者を検討する人事担当者
研修の中身より前に、ここで止まってしまうことがある

1|挙手制か指名制か、という問い

最初にお答えすると、この二択は、思われているほど結果を左右しません

挙手制のほうが良さそうに見えます。やる気のある人が集まるのだから続くはずだ、と。実際、始まったばかりの頃の教室は明るいです。ただ、3か月後に残っている人数は、挙手制でも指名制でも大きくは変わりません。

何が起きるかというと、こういう流れです。顧客対応や社内の打ち合わせが入って、1回休む。グループレッスンは休んだ人を待たずに進みますから、次に出たときには内容が分からない。分からないから足が遠のく。そうして離脱していきます。本人のやる気とは関係のないところで起きる離脱です。

ですので、挙手制か指名制かを社内で議論するより、始まったあとに職場が支えられるかどうかを先に確認しておくほうが、はるかに効きます。この点は最後にあらためて書きます。

なお、この離脱の起き方は形式によって違います。マンツーマンなら日程を動かせるので、休んでも戻ってこられます。グループは戻りにくい。人選と同時に、どの形式で組むかも考えておく必要があります。

2|まず確かめるのは、本人の意思

人選で本当に確認すべきなのは、語学の適性ではなく、その人が置かれている状況のほうだと思っています。

中国に系列ホテルを持つ企業で、こういうことがありました。日本から赴任者を送る計画があり、対象者の中国語研修をご依頼いただきました。ところが始めてみると、ご本人があまり乗り気ではない。欠席が続き、やがて赴任の話そのものが立ち消えになりました。研修にかけた時間も費用も、結果として残りませんでした。

あとから振り返ると、人事のご担当者と本人の間で、赴任についての意思疎通が十分ではなかったのだと思います。中国に行ってもよい、あるいは行きたい。そこが固まっていない状態で語学研修だけが先に走ると、こうなります。

研修会社の側からは、社内の事情までは見えません。ですので、お申し込みの前に、対象者と一度話しておいていただきたいのです。語学研修の可否を聞くというより、その先にある異動や業務の話として。ここが揃っていれば、人選の大半はうまくいきます。

3|「通訳がいるから不要」を疑ってみる

メーカーでも商社でも、「現地に通訳がいるので中国語は要らない」というお話をうかがうことがあります。業務が回っているのは事実でしょうから、否定はしません。ただ、二つの点は考えてみる価値があると思います。

ひとつは、通訳への信頼です。自分が日本語で長く話したはずなのに、通訳が短い中国語で返している。逆もあります。この違和感は、通訳を介して仕事をしたことのある方なら覚えがあるのではないでしょうか。本当に意図どおりに伝わっているのか、確かめる手立てがない。相手の言葉が少しでも分かれば、この不安はかなり減ります。

もうひとつは、取引先や現地スタッフからの信頼です。中国語が流暢である必要はありません。拙いなりに中国語で話そうとする姿に、現地の方は好感を持ってくださいます。全部を通訳に任せている人と、挨拶だけでも自分の言葉で言う人とでは、関係の作られ方が違ってきます。

人選をこの角度から見直すと、候補者が変わることがあります。語学が得意そうな人ではなく、現地との関係を作る立場にいる人を選ぶ、という考え方です。

4|管理職を外さない

前項と重なりますが、管理職の方を対象から外している企業は多いように感じます。忙しいから、現場が学べば足りるから、という理由でしょう。

ただ、管理職の方が中国語を学ぶ姿勢を見せたときに職場へ与える影響は、現場担当者一人が学ぶのとは比較になりません。「うちの部長も勉強している」という事実は、研修を業務の一部として扱ってよいという合図になります。1章で触れた「職場が支えられるか」という問題に、これがそのまま効きます。

人数の都合で誰かを外すことになったとき、外す先を管理職にしないでください、というのが私たちからのお願いです。

少人数で中国語のレッスンを受ける社員たち
人数が増えるほど、一人が話す時間は短くなる

5|人数は5名までで考える

グループ研修の適正人数について、私たちは5名程度をお勧めしています。

1人あたりの費用だけを見れば、人数は多いほど有利です。10名、20名とまとめたくなるのは自然だと思います。ただ、10名を超えたあたりから、レッスンの質が変わります。

語学は口を動かした分だけ伸びるものですが、人数が増えれば一人が話す時間はその分だけ減ります。60分のレッスンで5名なら一人あたり相応の発話量が確保できますが、10名になると講師の説明を聞いている時間のほうが長くなり、講義に近づきます。

それだけではありません。人数が多いと、参加者の意識も下がります。自分が答えなくても誰かが答える、という状態になり、他力本願になりやすい。5名なら、そうはいきません。

ですので、20名を対象にしたいのであれば、10名×2クラスではなく、5名前後×4クラスで組むほうが結果は出ます。総額は上がりますが、講義を20名に聞かせて終わるより、費用対効果としては合うはずです。具体的な金額の差は3つのモデルケースと比較の5つの軸で試算していますので、社内の検討にお使いください。

6|レベル差をどう扱うか

複数名で受講される場合、レベルがばらつくのは避けられません。全員が初学者であれば話は簡単ですが、以前に少し学んだ方や、留学経験のある方が混ざることがあります。

私たちは、下の学習レベル表をお渡しして、人事のご担当者に振り分けを判断していただいています。16段階それぞれに語彙数と学習時間の目安を置いてあるので、対象者にご自身の感覚で選んでいただくこともできます。

イーチャイナの中国語学習レベル表(16段階/語彙数・検定相当レベル・学習時間の目安)
イーチャイナの学習レベル表。振り分けの目安としてお使いいただいています

とはいえ、正直に申し上げると、時間と場所とレベルの3つを揃えること自体が、忙しい社会人にとってはかなり高いハードルです。レベルで分けたら今度は日程が合わない、日程を優先したらレベルがばらつく、ということが普通に起きます。

ですので、3つとも完璧に揃えようとしないほうが現実的です。レベル差が小さければ同じクラスで扱えますし、大きい方が1名だけならマンツーマンを併用する手もあります。オンラインを混ぜれば場所の制約は外れます。この組み合わせは、対象者が決まった段階でご相談いただければ、一緒に考えます。

7|選んだあとに、必ずやること

人選が終わったら、研修が始まる前にもう一つ工程があります。研修の目的と達成目標を、対象者とすり合わせることです。

何のための研修なのか。いつまでに何ができていてほしいのか。業務のなかでどう使う想定なのか。人事のご担当者の頭のなかにはあっても、選ばれた本人に伝わっていないことが少なくありません。初回レッスンの前に15分でも場を持つだけで、その後の出席率が変わります。

あわせて、対象者の上司にも研修の予定を共有しておいてください。1章で書いた「1回の欠席から始まる離脱」は、研修日に会議が入ることから始まります。本人にやる気があっても、周りが研修を業務の一部として扱っていなければ、続きません。挙手制でも指名制でも、ここが揃っているかどうかで結果が決まります。

研修が始まってからつまずく箇所については、よくある6つの失敗と防ぎ方にまとめました。あわせてご覧ください。

おわりに

人選の話をしてきましたが、結局のところ、選び方そのものより、選んだあとに会社が研修をどう扱うかのほうが結果を左右します。挙手制か指名制かで結果が変わらないのは、そのためです。

対象者が決まりきっていない段階でも、ご相談いただいて大丈夫です。「この部署の何名くらいを考えているが、どう分けるのがいいか」といったところから、一緒に組み立てられます。この記事が、社内で人選を進めるときの材料になれば幸いです。

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人選の段階から、ご相談いただけます。

対象になりそうな部署と人数、現在のレベル、実施できる時間帯。この3点をお聞かせいただければ、クラスの分け方と形式の組み合わせをご提案します。レベルチェックだけのご依頼も承ります。

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